採用手法・課題対策

面接官トレーニングとは?目的・進め方・研修プログラム例を解説

2026.11.02

面接官トレーニングとは?目的・進め方・研修プログラム例を解説

面接官によって評価がバラバラになる。
面接官の印象が悪く、内定を出しても辞退される。
入社後に「思っていた人と違った」というミスマッチが起きる。

こうした悩みの背景に、面接官のスキルや基準に違いがあるケースも少なくありません。

面接官トレーニングは、そうした課題を改善するための取り組みです。

ただし、面接官に研修を受けさせるだけでは、十分な成果は得られません。

自社の課題を整理し、評価基準をそろえ、実践と振り返りを重ねる設計が必要です。

この記事では、人事採用担当者向けに、面接官トレーニングの目的や必要性、習得すべきスキル、進め方7ステップ、研修プログラム例、内製と外部研修の違い、効果を高めるポイントを解説します。

あわせて、面接官トレーニングだけでは防げないリスクと、その補い方についても触れます。

面接官トレーニングとは

面接官トレーニングとは、研修や演習を通じて、面接官が候補者を公平に見極め、自社の魅力を伝えるための知識とスキルを身につける取り組みのことです。

目的は大きく3つあります。

  • 見極め:自社に合う人材かどうかを、限られた時間で正確に判断する
  • 惹きつけ:候補者に自社の魅力を伝え、入社意欲を高める
  • 適正な運用:法令や社会的な配慮に沿った面接を行い、企業のリスクを避ける

面接官トレーニングの対象は、初めて面接官を担当する社員だけではありません。

経験豊富な面接官も、自己流の癖や思い込みが評価に影響していることがあります。

そのため、現場の管理職や役員クラスの面接官も含め、面接に関わる全員が対象になります。

面接官トレーニングが必要な理由

前項でご紹介した目的を達成できるかどうかは、面接官のスキルや知識に大きく左右されます。

実際の面接現場では、次のような課題がよく見られます。

面接官ごとに評価がずれ、採用の質が安定しない

現場で起きていること

同じ候補者でも、面接官によって評価が分かれることがあります。原因は主に2つです。

基準の解釈が違う:評価項目が同じでも、合格の水準は人によって異なります。

たとえば「コミュニケーション能力」という項目ひとつでも、何ができれば十分と見なすかは面接官ごとに違います。

見方に癖がある:出身校や前職の知名度といった印象が、無意識のうちに評価へ影響します。

放置した場合の影響
誰が面接を担当するかによって合否が左右され、自社に合う人材を落としたり、合わない人材を通したりするリスクが高まります。

評価が面接官ごとにずれていると、選考結果を振り返っても、どこを改善すべきか判断しにくくなります。

トレーニングの役割
評価項目の意味と合格ラインを事例で共有し、評価エラー(ハロー効果や類似性バイアスなど)の存在を知ってもらうことで、判断の物差しをそろえやすくします。

面接官の印象が内定辞退につながる

面接官の印象が内定辞退につながる

現場で起きていること
候補者は、面接官の態度や言葉遣い、身だしなみといった細かな点から、企業の雰囲気や価値観を感じ取っています。

印象が悪ければ、選考の途中で離脱したり、内定を出しても辞退されたりすることがあります。

エン・ジャパンが運営する「人事のミカタ」が、2023年に転職活動中の求職者8,622人を対象に行った調査(2024年10月公開)では、面接後の辞退理由の3位に「雰囲気が悪かったため」と「面接官の態度が悪かったため」が挙がっています。

寄せられた声には、面接で血液型や家庭環境、宗教などを尋ねられたことが辞退の決め手になったという例もあります。

放置した場合の影響
候補者は複数社を並行して受けていることが多く、面接官の印象が悪いと、選考途中や内定後に他社へ流れてしまいます。

悪い体験は口コミやSNSで広がり、次の採用にも影響します。

トレーニングの役割
面接官が「評価される立場でもある」ことを自覚し、マナーや傾聴の姿勢、自社の魅力の伝え方を実践的に身につけます。

参考≫≫
エン・ジャパン 人事のミカタ「辞退の心理|求職者8,000人超に聞いた辞退理由と、企業がすべき対策(https://partners.en-japan.com/special/241015/)」 ※1

限られた時間での見極めが難しい

現場で起きていること
面接は、長くても1回30分から1時間程度です。

その中で、経歴やスキルだけでなく、価値観や行動特性、自社との相性まで確認する必要があります。

質問の組み立てや掘り下げが不十分だと、聞くべきことを聞けないまま終わります。

経験の浅い面接官ほど、履歴書の内容の確認や、想定どおりの回答をなぞる質問に時間を使いがちです。

放置した場合の影響
表面的な情報だけで判断することになり、入社後に「思っていた人と違った」というミスマッチが起きやすくなります。

トレーニングの役割
面接の流れに沿った時間配分と、具体的なエピソードを引き出す質問・掘り下げの型を、ロールプレイングで練習します。

意図しない法令違反・炎上のリスクがある

現場で起きていること
本人に責任のない事項や、思想・信条にかかわる質問は、就職差別につながるおそれがあります。

悪意がなくても、雑談のつもりの一言や、慣習的に聞いてきた質問が問題になることがあります。

放置した場合の影響
不適切な言動があれば、候補者からの信頼を失います。

さらに、不適切な面接の様子がSNSや口コミサイトに投稿されて広まれば、企業の評判にも影響するおそれがあります。

トレーニングの役割
面接で避けるべき質問とその理由を学び、業務に関連する形へ言い換える練習をします。

厚生労働省が示す「公正な採用選考の基本」の考え方も共有します。

参考≫≫
厚生労働省「公正な採用選考の基本
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/newpage_56780.html)」※2

面接官に求められるスキルとトレーニングで習得できる内容

面接官に求められるスキルとトレーニングで習得できる内容

ここからは、前章で挙げた4つの課題に対応するスキルを、5つに分けて整理します。対応関係は次の表のとおりです。

スキル対応する課題
面接の基本フローとビジネスマナー限られた時間で聞き出せない(基本フロー)、印象による辞退(マナー)
質問力・傾聴力・共感力限られた時間で聞き出せない(質問力)、印象による辞退(傾聴力・共感力)
見極め力評価のずれ
自社の魅力を伝える力面接官の印象による辞退
コンプライアンスとNG質問法令違反・炎上

面接の基本フローとビジネスマナー

面接は、一般的に次の流れで進みます。

アイスブレイク → 企業・面接の説明 → 候補者への質問 → 候補者からの質問 → クロージング

全体の流れを押さえておくと、時間配分に迷わず、聞くべきことを漏れなく確認できます。

ビジネスマナーは、候補者に求めるのと同じ水準を面接官も守る必要があります。清潔感のある服装、時間厳守、丁寧な言葉遣いなどが基本です。

研修では、実際の面接の流れに沿ってロールプレイングを行い、他の受講者から自分では気づきにくい癖を指摘してもらいます。

質問力・傾聴力・共感力

質問力とは、候補者の考えや行動の背景を引き出す力です。「はい・いいえ」で終わる質問ではなく、具体的なエピソードを語ってもらえる質問を使い分けます。

確認したいこと質問例
志望動機・入社意欲同業他社ではなく、当社を選んだ理由を教えてください
仕事への価値観仕事でやりがいを感じるのは、どのようなときですか
行動特性これまでで最も困難だった場面と、どう乗り越えたかを教えてください
ストレス耐性プレッシャーのかかる状況で成果を出した経験を教えてください

傾聴力とは、候補者の話を遮らず、相づちやうなずきで安心感を与えながら聞く力です。共感を示すことで、候補者は本音を話しやすくなります。

研修では、ペアになって質問し合うロールプレイングを行います。

候補者役を体験することで話しやすい聞き方を実感でき、回答が浅いときの掘り下げ方もその場で練習します。

見極め力

見極め力

見極め力とは、候補者の回答や振る舞いを、自社の評価基準に照らして公平に判断する力です。

面接官によって評価がずれる原因は、基準の解釈の違いと、無意識の見方の癖の2つです。

トレーニングでは、この2点に分けて取り組みます。

基準の解釈をそろえる

評価項目が同じでも、面接官によって「どこまでできれば合格か」の解釈は異なります。

評価基準そのものの作り方は、[採用基準の作り方と活用術|ミスマッチを防ぐ設定項目と見極め方」で解説していますが、ここでは、作成した基準を面接官全員が同じ意味で使えるようにする方法を取り上げます。

研修では、評価項目ごとの合格・不合格の行動例を確認し、実際の面接での回答を使って全員で採点し合います。

見方の癖を知る

基準をそろえても、無意識のうちに評価が偏ってしまうことがあります。

代表的な評価エラーは次の通りです。

評価エラー内容
ハロー効果目立つ長所(有名企業出身など)に引きずられ、全体を高く評価する
類似性バイアス出身校や趣味など、自分と似た人を高く評価する
対比効果直前の候補者との比較で、評価が上下する
中心化・寛大化傾向無難な評価に集中する、または全体的に甘く評価する
確証バイアス最初の印象に合う情報ばかりを集めてしまう

研修では、同じ候補者の模擬面接を複数人で評価し、結果を比較します。評価が割れた箇所を話し合うことで、自分がどのエラーに陥りやすいかに気づけます。

自社の魅力を伝える力

面接は、企業が候補者を選ぶ場であると同時に、候補者が企業を選ぶ場でもあります。

事業内容や理念、働く環境を、候補者に伝わる言葉で話せることが重要です。

このとき、良い面だけでなく、繁忙期の負荷などの課題も正直に伝えると、信頼を得やすくなります。

研修では、自社の魅力を伝えるトークを声に出して練習し、他の受講者からフィードバックを受けます。

課題も含めて正直に伝える練習をすることで、説明が一方的にならないようにします。

コンプライアンスとNG質問

厚生労働省は、就職差別につながるおそれがある事項として、本籍や家族構成など「本人に責任のない事項」、宗教や思想信条など「本来自由であるべき事項」を挙げています。

研修では、面接でありがちな聞き方を提示し、どこが問題で、どう言い換えればよいかをその場で考える演習を行います。

とっさに出やすい質問ほど、事前に言い換えを練習しておくことが有効です。

具体的な項目は、「採用基準の作り方と活用術|ミスマッチを防ぐ設定項目と見極め方」で詳しく解説しています。

万が一NG質問をしてしまった場合は、その場で質問を撤回し、回答を評価に使わないことを伝えます。

たとえば「失礼しました。先ほどの質問は選考に関係がないため撤回します。お答えいただいた内容は、評価には使用しません。」のように簡潔に伝え、本題に戻ります。

面接後は、回答を評価シートに記載せず、社内に報告して再発防止のために事例を共有します。研修では、こうした対応も実際に声に出して練習します。

参考≫≫
厚生労働省「公正な採用選考の基本
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/newpage_56780.html)」※2
採用選考時に配慮すべき事項(https://kouseisaiyou.mhlw.go.jp/consider.html) ※3

面接官トレーニングを実施するメリット

面接官トレーニングを実施するメリット

面接官トレーニングを実施して、先に挙げた4つの課題が改善されると、採用活動にどのような変化が起きるかを整理します。

  • ミスマッチが減り、定着しやすくなる:見極めの精度が上がり、入社後のギャップによる早期離職を抑えやすくなります。
  • 内定辞退を防ぎやすくなる:面接での印象が良くなり、候補者の入社意欲を維持しやすくなります。
  • 企業イメージが高まる:不採用になった候補者にも良い印象が残り、口コミや再応募につながる可能性があります。
  • 採用活動の改善が回しやすくなる:評価の物差しがそろうと、通過率や辞退率などのデータを比較でき、どこを改善すべきかが見えやすくなります。

これらの効果は、研修を一度実施しただけで得られるものではありません。ここからは、成果につなげるための進め方を7つのステップで解説します。

面接官トレーニングの進め方【7ステップ】

ここからは面接官トレーニングの進め方を7つのステップにわけ、順を追って説明します。

7つのステップはどれも独立した作業ではありません。前のステップで作ったものが、次のステップの土台になります。

各ステップの最後に、次に進むために残しておきたい成果物を示していますので、あわせて確認してください。

ステップ1:現状分析

まず、自社の採用課題を洗い出します。

内定辞退が多いのか、入社後の早期離職が多いのか、面接官ごとの評価のブレが大きいのかによって、必要なトレーニングは変わります。

これまでの選考通過率、辞退率、定着率といった選考データや面接官へのヒアリングなどを参考にして課題を洗い出しましょう。

成果物:課題一覧

ステップ2:目標設定

ステップ1で抽出した課題に対応した目標を定めます。

このとき、「内定辞退率を下げる」「評価のばらつきを減らす」など、効果を測定できるものを評価指標として定めることが重要です。

成果物:目標と評価指標

ステップ3:プログラム設計

目標に合わせて内容と形式を決めます。座学、eラーニング、ロールプレイングを組み合わせるのが一般的です。

対象者の経験によって、基礎編と実践編を分ける方法もあります。

なお、評価基準が未整備の場合は、このタイミングで先に整備します。基準が曖昧なままでは、表面的な内容しか研修で扱えません。

成果物:評価基準、カリキュラム案

ステップ4:研修の実施

座学で基礎知識と評価基準を共有します。

採用要件や評価項目が設定された理由まで説明すると納得感が高まります。

成果物:受講記録

ステップ5:ロールプレイング

面接官役、候補者役、観察役に分かれて模擬面接を行います。実際の評価シートを使うと、本番に近い練習になります。

模擬面接の様子を録画しておくと、次章のフィードバックの際に役立ちます。

成果物:模擬面接の記録(あれば動画)

ステップ6:フィードバック

ロールプレイングのあと、観察役と候補者役の受講者、講師(または人事担当者)が、良かった点と改善点を具体的に伝えます。

候補者役からは「話しやすかったか」といった受け手の感想も共有します。

録画があれば、自分の話し方や質問の癖を客観的に確認できます。

成果物:個別の改善ポイント

ステップ7:マニュアル化

評価基準、質問例、NG質問、面接の流れをまとめ、面接官全員がいつでも参照できる状態にします。

成果物:面接官マニュアル、評価シート

面接官トレーニングのプログラム例

面接官トレーニングのプログラム例

以下に、基礎編を半日で実施する場合のプログラムの一例を記載します。自社の課題や人数に合わせて調整してください。

時間内容形式
20分面接官の役割と、面接が採用に与える影響講義
30分採用基準・評価基準の共有講義・討議
30分面接の流れと質問の組み立て講義
30分評価エラーとNG質問講義・事例演習
15分休憩–
60分ロールプレイング(3人1組で交代)演習
30分フィードバックと振り返り討議

上記の場合、プログラム全体で約3時間半です。実践編を追加する場合は、ロールプレイングの時間を増やし、1日の構成にする方法もあります。

面接官トレーニングの実施頻度の目安

面接官トレーニングは、一度実施して終わりではなく、面接官の経験や採用状況に応じて継続的に行います。

  • 新任の面接官:初めて面接を担当する前に実施する
  • 経験者:年1回程度、定期的に実施する
  • 採用基準や選考フローを変更したとき:その都度、変更点を共有する

面接官トレーニングは社内だけで実施できる?外部研修との違い

面接官トレーニングは社内だけでも実施できます。

自社の採用基準や評価項目をそのまま扱えることと、外部への支払いを抑えられることは、内製の大きな強みです。

一方で、講師を務める担当者に面接官としての専門性があるかどうかや、社内の視点に偏って客観性が乏しくなることが課題になります。

観点内製外部研修
費用外部への支払いは不要(担当者の工数は発生)形式・人数・日数により変動
準備の工数大きい(資料作成、運営)小さい
専門性担当者の経験や知見に依存委託先の専門性や実績によって異なる
自社への最適化高いカスタマイズの範囲に依存
客観性社内の慣習に影響されやすい第三者の視点を取り入れやすい

内製と外部研修の使い分けの目安は次のとおりです。

  • 基準の共有やマニュアルに沿った定期研修:内製が進めやすい
  • 初めて体系的に整備する場合や評価エラーなど専門的な内容を扱う場合:外部研修が向いている
  • 両方を組み合わせ、基礎は外部、運用は内製とする方法もある

外部研修を選ぶ際は、面接官研修の実績があるか、自社の課題に合わせて内容を調整できるかを確認します。

外部研修の費用相場

外部研修の費用は、公開講座、自社向け研修(講師派遣)、eラーニングなどの形式によって大きく異なります。

このうち公開講座と講師派遣について、公開されている主な研修会社の掲載価格は次のとおりです。

形式費用の例
公開講座(1名あたり)1万円〜7万円台
講師派遣(3時間程度)15万円〜
講師派遣(1日)25万円〜

上記は各社が公表している「〜から」の価格で、研修内容、人数、カスタマイズの有無によって変わります。

公開講座は、他社の面接官とともに学ぶ形式で、1名から参加できます。

講師派遣型は、自社の評価基準や課題に合わせてカスタマイズできる分、費用は高くなる傾向があります。

人数が多い場合は、1名あたりの単価では講師派遣型の方が割安になることもあります。

掲載価格には税込と税別の表記が混在しています。

実際の金額は研修会社や内容によっても変動するため、複数社から見積もりを取って比較してください。

面接官トレーニングを成功させる5つのポイント

面接官トレーニングを成功させる5つのポイント

面接官トレーニングを手順どおりに進めるだけでは、十分な効果が得られないことがあります。効果を高めるために押さえておきたいポイントを5つ紹介します。

1. 研修の前に、評価基準を整備する

前述のとおり、評価基準が曖昧なままでは、表面的な内容しか研修で扱えません。

採用要件、評価項目、各項目の合格・不合格の行動例を先に決めておきます。

研修は、その基準を面接官が同じ意味で使えるようにする場と位置づけます。

以下の記事も併せてご覧ください
採用基準の作り方と活用術|ミスマッチを防ぐ設定項目と見極め方

2. 現場を巻き込み、人事と現場の役割を分ける

面接官トレーニングの成否は、現場をどれだけ巻き込めるかにかかっています。

巻き込む際は、人事は基準・運用の設計、研修の運営、データ管理を担い、現場は事業の視点での見極めと、候補者への魅力の伝達を担うというように、役割を明確に分けることが重要です。

また、現場の協力を得るには、研修を「負担」ではなく「現場で活躍する人材を採用するためのもの」として伝えます。このとき、辞退理由などのデータを示すと、納得を得やすくなります。

3. 面接官同士で、定期的に評価をすり合わせる

研修で評価基準の解釈をそろえても、面接を重ねるうちに、評価のずれは生じてしまいます。

そのため、選考後に同じ候補者への評価が割れた理由を共有する場を、定期的に設けます。

解釈の違いを確認し合うことで、基準が徐々にそろっていきます。

4. 効果を測り、改善を繰り返す

研修後に面接を重ねたうえで、ステップ2(目標設定)で決めた指標をもとに効果を確認します。

主な指標は、評価のばらつき(面接官間の評価差)、選考辞退率・内定辞退率、入社後の定着状況などです。

辞退理由のデータがあれば、次回の研修の内容に反映します。

5. オンライン面接ならではの対応もトレーニングに含める

オンライン面接は、表情や仕草が伝わりにくく、対面とは違う工夫が必要です。

カメラの高さや目線、リアクションの大きさ、通信トラブルが起きたときの対応などを、研修で練習します。

面接官トレーニングだけでは防げないリスクとは

面接は、基本的に候補者本人の申告と、その場での観察に基づいて評価する場です。

トレーニングによって面接の質は高まりますが、面接だけでは確認できない領域があります。

確認したいことトレーニングで補えるか理由
質問・傾聴の技術○研修で練習して身につけられる
志望度・価値観の把握○質問や掘り下げの技術で確認できる
評価の偏りの抑制△評価エラーの存在を知り、複数人で評価することで軽減できる
学歴・職歴・資格の真偽×面接官の技術に関係なく、申告内容を面接だけで確認するのは難しい
過去の勤務状況の事実確認×同上

たとえば、経歴を偽って申告された場合、話が矛盾していなければ面接で見抜くのは困難です。

面接官の力量とは別の問題として、事実確認の仕組みが必要になります。

面接官トレーニングとバックグラウンドチェックを併用するメリット

面接官トレーニングとバックグラウンドチェックを併用するメリット

採用基準で定めた評価項目(参照:採用基準の作り方と活用術|ミスマッチを防ぐ設定項目と見極め方)を満たしているかは、候補者本人の申告に加えて、経歴の事実確認も踏まえることで、より精度の高い判断につながります。

面接の質を高めたうえで、面接では確認できない情報をバックグラウンドチェックなど別の手段で補うと、ミスマッチをより防ぎやすくなります。

バックグラウンドチェック併用の基本的な流れ

バックグラウンドチェック併用時の基本的な流れは以下のとおりです。

  • 書類選考
  • 面接(トレーニングを受けた面接官が、人柄・価値観・意欲を見極める)
  • 内定を出す前にバックグラウンドチェックを実施し、申告内容を確認する
  • 面接での評価と確認結果をあわせて、最終判断を行う

なお、バックグラウンドチェック実施のタイミングは、内定を出す前が基本です。

バックグラウンドチェックを併用して得られること

バックグラウンドチェックを併用することで以下のようなメリットが得られます。

  • 面接官が対話に集中できる:申告内容の確認をバックグラウンドチェックに任せることで、面接では候補者の価値観や意欲の見極めに時間を使えます。
  • 確認結果が担当者によって左右されない:誰が担当しても、同じ手順で申告内容を確認できます。
  • 入社後のリスクを早めに把握できる:入社前に確認することで、内定を出す前に対応を検討できます。

バックグラウンドチェック実施時の留意点

バックグラウンドチェックを実施する際は以下の点に留意しましょう。

  • 本人の同意を得る:実施の目的と内容を説明し、同意を得たうえで行います。
  • 目的の範囲内で行う:募集・採用に必要な範囲で情報を収集し、結果も選考の目的の範囲内で使用します。
  • 就職差別につながる事項は調べない:面接のNG質問と同じ考え方で、本籍・出生地、思想・信条、労働組合への加入状況など、社会的差別の原因となるおそれのある事項は対象外とします。
  • 個人情報を適正に管理する:職業安定法に基づく指針に沿って、情報を正確かつ最新に保つ、紛失・改ざんや不正なアクセスを防ぐ、不要になった情報を破棄・削除するといった措置を講じ、社内で徹底します。求職者から求められた場合は、その措置の内容を説明する必要があります。

出典:厚生労働省「職業紹介事業者、労働者の募集を行う者、募集受託者、労働者供給事業者等が均等待遇、労働条件等の明示、求職者等の個人情報の取扱い、職業紹介事業者の責務、募集内容の的確な表示等に関して適切に対処するための指針(平成11年労働省告示第141号)」(https://jsite.mhlw.go.jp/niigata-hellowork/jigyounushi/kousei_saiyou/kojinjouhou/shishin.html)※4

レキシルは上記を含めた高品質なバックグラウンドチェックサービスをご提供しています。面接官トレーニングとあわせた導入をご検討の際は、お気軽にご相談ください。

よくある質問

面接官トレーニングに関するよくある質問

面接官トレーニングについてよくある質問をご紹介します。

面接官トレーニングは誰が受けるべきですか?

面接に関わるすべての人が対象です。

新任者だけでなく、経験者や管理職、役員も含めて基準をそろえることで効果が高まります。

研修時間はどのくらい必要ですか?

基礎編であれば半日(3〜4時間)が一つの目安です。

ロールプレイングを重視する場合は、1日以上の確保が目安です。詳細は「プログラム例」をご覧ください。

費用の目安はどのくらいですか?

主な研修会社の掲載価格では、公開講座が1名あたり1万円〜7万円台、講師派遣が3時間程度で15万円〜、1日で25万円〜です。

内製の場合、外部への支払いはありませんが、資料作成などの工数がかかります。

詳しくは「社内だけで実施できる?外部研修との違い」をご覧ください。

どのくらいの頻度で実施すべきですか?

新任者は初回の面接前、経験者は年1回程度が目安です。

採用基準や選考フローを変更したときも、その都度、変更点を共有します。詳しくは「面接官トレーニングの実施頻度の目安」をご覧ください。

現場の面接官が協力的でない場合はどうしますか?

研修を「負担」ではなく、現場で活躍する人材を採用するためのものとして伝えます。

辞退理由などのデータを示すと、納得を得やすくなります。詳しくは「現場を巻き込み、人事と現場の役割を分ける」をご覧ください。

効果はどのくらいで表れ、どう測りますか?

評価のばらつきは、研修後の数回の選考で確認できます。

内定辞退率や入社後の定着率は、採用サイクル全体を見て判断します。

研修前後の数値を比較できるよう、事前に測定項目を決めておきます。

面接でNG質問をしてしまった場合はどうしますか?

その場で質問を撤回し、回答を評価に使わないことを伝えます。あわせて、社内で報告し、再発防止のために事例を共有します。

具体的な言い回しは「コンプライアンスとNG質問」をご覧ください。

面接官トレーニングを行えば、経歴詐称は見抜けますか?

面接官トレーニングで面接の質を高める効果は期待できますが、申告内容の真偽を面接だけで確認するのは困難です。

事実確認が必要な場合は、バックグラウンドチェックなどの客観的評価を併用しましょう。

まとめ

面接官トレーニングは、評価基準をそろえ、見極めと惹きつけの力を高め、法令を守った面接を行うための取り組みです。

ポイントは次の3つです。

  • 自社の課題を整理し、目標を決めてから設計する
  • 座学だけでなく、ロールプレイングとフィードバックを組み合わせる
  • 面接の限界を理解し、事実確認の手段と併用する

※1エン・ジャパン 人事のミカタ「辞退の心理|求職者8,000人超に聞いた辞退理由と、企業がすべき対策」
※2 厚生労働省「公正な採用選考の基本」
※3 厚生労働省「採用選考時に配慮すべき事項」
※4 厚生労働省「職業紹介事業者、労働者の募集を行う者、募集受託者、労働者供給事業者等が均等待遇、労働条件等の明示、求職者等の個人情報の取扱い、職業紹介事業者の責務、募集内容の的確な表示等に関して適切に対処するための指針(平成11年労働省告示第141号)」