深刻な人手不足が続いており、日本の採用活動では売り手市場が続いています。
企業側はいかに優秀な人材を採るかに注目しがちですが、採用を急いだ結果、採用に失敗するケースも少なくありません。
現在の日本では、採用後に従業員を解雇することは難しいため、採ってはいけない人材を採用前に見抜くことが重要です。
この記事では、採用してはいけない人材の共通点と採ってはいけない人材を見抜く方法を解説します。
採用してはいけない人材の特徴を知るべき理由
採用してはいけない人材を採ってしまうと以下のリスクがあります。
- 企業の損失につながる
- 早期離職の原因になる
それぞれについて以下で解説します。
企業の損失につながる
採用してはいけない人材を採ってしまうと会社の金銭的負担は大きくなります。
例えば、仕事のパフォーマンスが低い場合、支払う給与と釣り合わず、人件費がかさむことになります。
また、人を雇用する際、入社時の手続きや労務関係などに多くの費用がかかります。
現代の日本では簡単に従業員を解雇することは難しいと言えます。採用してはいけない人材を見極め、採用しないことが企業防衛の意味でも重要なのです。
早期離職の原因になる
採用してはいけない人材は転職回数が多い傾向があります。このような人材はコミュニケーションスキルなどに問題があることが多く、待遇や職場環境に不満を抱き、転職を繰り返すことが多いようです。
早期離職された場合、新たな人材を確保しなければならず、退職コストと採用コストがダブルでかかってきます。
また、このような人材を採用すると、職場環境の悪化や他の従業員のモチベーション低下を招く恐れもあります。
離職後に新たな人材を確保できない場合、他の社員の業務負担が増えるため、業務遂行に遅れが生じる可能性もあります。
採用してはいけない人材の共通点
採用してはいけない人材には共通点があります。
- 主体性がない
- 協調性がない
- 他責思考
- コミュニケーション能力が低い
- 興味の移り変わりが激しい
- 自己管理ができない
- 当たり前のことができない
詳しく見ていきます。
主体性がない
一昔前なら与えられた仕事だけをやっていればよかったかもしれません。
しかし、今は自分の頭で考え、現状の課題を見出し、主体的に行動する能力が必要です。
指示待ちスタイルを貫く人材を採用してしまうと、教育に時間がかかりますし、その分人件費も嵩みます。結果的にチームや組織全体のパフォーマンスが低下することになります。
また、このような人材はコミュニケーション能力が低い傾向があるため、職場の雰囲気を悪くする恐れがあります。
協調性がない
企業は組織であるため、組織の一員となり、周りと力を合わせて業務を遂行する力が必要です。
協調性がない人は空気を読んだり、周りに配慮したりすることが苦手ですので、社内外での人間関係構築が困難になります。
他責思考
他責思考の人は職場の雰囲気を悪くし、他の従業員のモチベーションを下げます。下記に具体例を挙げます。
- 問題が起こった際、その原因を環境や周囲のせいにする
- 自分に責任があったとしても自分の非を認めず責任転嫁をする
- 指導や注意をすると反論や言い訳ばかりして反省や学習をしない
- 自分を正当化するために本質でない部分で他人の落ち度を指摘する
このような人材は、物事の本質や課題を突き止めようとしないため、業務遂行が難しくなります。
また、上司や周りが指導としても言い訳ばかりして学習しようとしないため、成長できず、責任を放棄したり、早期離職することもあります。
どのような仕事であっても、責任感を強く持って取り組む能力が求められます。
コミュニケーション能力が低い
コミュニケーション能力はどの企業においても最も求められる能力です。
企業は組織ですので、社内外問わず人と関わりを持つことになります。
コミュニケーション能力の低い人材は、入社後、チームで協力して業務を進めていくことが困難な傾向があります。
具体的には、相手の言ったことを正しく理解できない、伝えたいことをわかりやすく伝えられないといったことがあります。
相手の発言を正しく理解できない場合も、「わからないから教えてほしい」という意思表示が少ないため、周囲も困惑し、気を遣ってしまうのです。
興味の移り変わりが激しい
組織で行う仕事は自分の興味のいかんに関わらず、やり遂げる必要があります。なかにはすぐに結果が出ないこともありますが、周りと歩調を合わせてやり遂げなければなりません。
興味がなくなったからと手を抜くことがあれば、業務に遅れが生じ、周りにも迷惑がかかります。
また、すぐに興味が移り変わるということは、会社への興味もすぐになくなる傾向があります。業務に慣れてくると新鮮味がなくなり、退職してしまうこともあるようです。
自己管理ができない
自己管理ができない人は会社への損失となる行動が多いです。例えば取引先に遅刻する、連絡を忘れる、納期に遅れが出るといったことがあります。
納期の遅れは様々な事情で生じるため、取引先が理解を示すケースもありますが、遅刻や連絡ミスについては信頼低下を招く恐れがあります。
当たり前のことができない
挨拶や返事、TPOに合わせた服装など、社会人として当たり前のことができないというのも問題です。
当たり前のことができない人材は職場の和を乱します。また、会社に入ってからこれらの基本行動を身に着けさせるのは困難です。
採用してはいけない人材を見極める5つの方法
採用してはいけない人材を採らないことは非常に重要です。採ってはいけない人材を見極める方法を5つ紹介します。
- 採用してはいけない人材像を明確にする
- スキルや適性を客観的に測る
- 話を聞く姿勢を注視する
- 質問への回答を掘り下げる
- バックグラウンドチェック・リファレンスチェックを行う
それぞれ下記で解説します。
採用してはいけない人材像を明確にする
書類選考や面接は人が評価するものなので、属人的にならないようにすることが重要です。
採用してはいけない人材像を明確にし、担当者間で共有しておきましょう。
スキルや適性を客観的に測る
選考の際は、スキルや適性を客観的に測ることが重要です。
書類選考や面接だけでなく、適性検査を加えることで客観的に候補者の適性やスキルを測ることができます。
話を聞く姿勢を注視する
面接は候補者の「人の話を聞く姿勢」をチェックできる絶好のチャンスです。
傾聴や聞き上手な人材は入社後のコミュニケーションも円滑に進めやすく、対人トラブルを起こしにくくなります。
もちろん、聞き上手なだけでなく、面接官の話をきちんと理解できているか、わからないことをわからないと認めて適切に質問できるかという点も確認しましょう。
質問への回答を掘り下げる
最近は面接マニュアルも豊富ですので、入念な面接対策が可能です。
しかし、想定外の質問や、候補者の回答をさらに深掘りして質問すると、人材の内面が見えてきます。
このとき、下記の点をチェックすると、採用してはいけない人材かどうかを見極めやすくなります。
- これまで話した内容と矛盾していないか
- 具体的なエピソードがあるか
- 感情的にならないか など
バックグラウンドチェック・リファレンスチェックを行う
より効率的に候補者を見極めるのであればバックグラウンドチェックやリファレンスチェックを行うと良いでしょう。
応募書類や面接は候補者の自己申告による内容です。候補者本人が主張する経歴やスキルが事実かどうかはわかりません。
基本的に応募書類や面接でネガティブな内容を伝える人は少なく、素晴らしい人材であるかのように見せようとするのは当然でしょう。
候補者の真の姿を把握し、ネガティブな要素を持つ人材の材用を避けるためにも、バックグラウンドチェックやリファレンスチェックを行うことをおすすめします。
採用してはいけない人材を採ってしまう原因
採用してはいけない人材を採ってしまう原因には大きく以下の二つがあります。
- 求める人材像が明確でない
- 応募者が少ない
それぞれ下記で詳しく解説します。
求める人材像が明確でない
求める人材像が明確でない、あるいは面接官や採用担当者によって人材像が違う場合、採用に失敗することが多いです。
人材像が曖昧で属人的な基準で採用していると、会社側だけでなく候補者にとっても機会損失になるため、双方にとって良いことはありません。
求める人材像を明確にし、担当者間で共有することが重要です。
応募者が少ない
応募者が少ないと、自社が求めている人材が現れにくくなります。そのため、消去法のような形で採用を進めることになります。
職場環境の良さや業務に見合った報酬などをアピールし、応募者を増やすことも重要です。
採用してはいけない人材を採用したときの対処法
採用活動に失敗してしまった、あるいは採ってはいけない人材がすでに在籍しているといった場合もあるでしょう。
この場合、主な対処法は以下の3つになります。
- 相談しやすい雰囲気つくりを心がける
- スケジュール管理を徹底する
- メンターをつけて教育する
それぞれ詳しく解説します。
相談しやすい雰囲気つくりを心がける
採用のミスマッチが起きた場合、当の本人も苦しんでいる可能性があります。そのまま放置すると離職する可能性もあります。
相談しやすい雰囲気づくりを心がけ、悩みを引き出し、アドバイスを行ったり、適材適所に人材を配置するといった対処を行いましょう。
スケジュール管理を徹底する
自己管理能力が低い人材の場合、その人材のスケジュール管理を上司が徹底して行うことが重要です。
大きなゴールを目指す前に、細かなタスクを与え、進捗を管理し、成功体験を積ませることができれば、自己管理能力を養うことにつながります。
メンターをつけて教育する
たとえ採ってはいけない人材であっても、採用してしまった限り会社に貢献できる人材に教育する必要があります。
スキルや経験が低かったり、自己管理能力がない場合、他の従業員と一律に教育するのではなく、メンターをつけて根気よく教育することが大切です。
まとめ
採用してはいけない人材の共通点と見極める方法を解説しました。
採ってはいけない人材は採用前に見抜くことが重要です。しかし、書類選考と面接だけでは候補者の表面的な部分しか見えません。
候補者の真の姿を把握し、ネガティブな要素を持つ人材の材用を避けるためにも、バックグラウンドチェックやリファレンスチェックを取り入れてみてはいかがでしょうか。
レキシルは経験豊富な調査会社のクオリティをリーズナブルな価格でご提供しております。
「求める人材を採用できない」「採ってはいけない人材を見抜きたい」などとお悩みの採用担当者の方はレキシルまでお問い合わせください。