採用面接でストレス耐性を見極めるには?質問例と注意点を解説
2024.06.18
企業にとって、社員に長く健康的に活躍してもらうことは非常に重要です。
ストレス耐性が低い人材を採用すると、早期離職につながったり、企業のパフォーマンス低下を招く恐れがあります。
採用活動では候補者のスキルや経験だけでなく、ストレス耐性を見極めることが重要になります。
この記事ではストレス耐性を面接で見極める方法や具体的な質問例、ストレス耐性を面接でチェックする際の注意点についてご紹介します。
ストレス耐性とは
ストレス耐性とはストレスに耐えうる力、ストレスに対する強さを指します。
経験やスキルが豊富な人材であっても、ストレスに晒された結果、うまく立ち回れなくなれば、持っている能力を十分に発揮できなくなります。
そのため、ストレス耐性は採用時の判断基準の1つになります。
ストレス耐性を把握する重要性
社会では、仕事の責任感やトラブル対応、人間関係、新しい環境への適応など、様々なストレスがかかります。
ストレス耐性が高ければ、ストレスがかかったときも安定して能力を発揮できます。
反対に、ストレス耐性が低ければ、持っているスキルを十分に発揮できず、早期離職を招く恐れもあります。
採用時に候補者のストレス耐性をチェックできれば、入社後に健康的に継続して活躍してもらえる可能性が高まります。
ストレス耐性の高い人の特徴
ストレス耐性の高い人の特徴には以下のようなものがあります。
- 周りの評価を気にしない
- マイペース
- 集中力が高い
- 楽観的
- ポジティブ思考
ストレス耐性の高い人は自分軸を持っており、周りの評価に振り回されません。スルースキルが高いとも言えます。
自分の発言を否定されたとしても、自分の発言と自分の価値は別のものととらえているため、自分の存在が否定されたわけではないことを理解しています。
周りから批判された場合であっても、「言動を改めたほうが良いとアドバイスされた」と前向きに捉え、怒りを感じたり、落ち込んだりすることはありません。
また、マイペースな人もストレス耐性が高いと言えます。
周りは周り、自分は自分と切り分けて考え、自分のペースで行動できるため、ストレスをうまく避けることができます。
周りに左右されないため、集中力が高く、業務効率が高い傾向があります。
楽観的で前向きなこともストレス耐性が高い人の特徴の一つです。
ストレスに晒されても前向きに捉え、ストレスを抱え込んだり、落ち込んだりすることなく行動できます。
ストレス耐性の低い人の特徴
ストレス耐性の低い人の特徴には下記のようなものがあります。
- 生真面目
- 几帳面
- 協調性が高すぎる・空気を読みすぎる
- 神経質
- ネガティブ思考
真面目で几帳面な人、完璧主義な人はストレス耐性が低いと言えます。
仕事に対して真面目に取り組むことは素晴らしいことではあります。
しかし、完璧にこなさないと気が済まないような思考だと、ちょっとしたトラブルや問題に直面しただけでストレスを抱え込んでしまいます。
協調性が高すぎる、空気を読みすぎる人もストレス耐性が低いでしょう。
周りを気にせずマイペースな人はストレス耐性が高い傾向があります。
反対に空気を読みすぎたり、協調性が高すぎてしまうと、周りの評価が気になり、緊張状態が続き、疲弊してしまいます。
また、ちょっとしたことでも神経質になったり、思い悩んだり、ネガティブに考える傾向がある人もストレス耐性が低いと言えます。
何気なく言われたことをくよくよ考えたり、思い悩むことで、精神を病む可能性が高くなります。
ストレス耐性には6つの要素がある
ストレス耐性は以下の6つの要素があります。
- 感知能力
- 回避能力
- 処理能力
- 転換能力
- 経験
- 容量
それぞれについて下記で解説します。
感知能力
ストレスの原因(ストレッサー)に気づくか否かの能力です。鈍感力とも言えるでしょう。
ストレスに晒されても、それを感じなければストレスになりません。
一方、感知能力が高いとストレスに気づきやすくなりますが、必ずしもストレス耐性が低いというわけではありません。
回避能力
ストレッサーを回避する能力です。スルースキルとも言えるでしょう。周りから嫌味を言われたりしても気にしない、受け流せる能力です。
その場から逃げるということではなく、その場にとどまったうえでストレスにならないよううまく避ける能力になります。
処理能力
ストレッサーに対処する能力です。早期にストレッサーをなくしたり、力を弱めたりすることで適切に対応できます。
例えば、ストレスになる業務だと思ったら、周りの人に協力を仰いだり、委ねたりして処理します。
転換能力
ストレスをとらえ直すことでポジティブに変換できる能力です。
業務でミスをしたら、「自分はダメな人間だ」ととらえるのではなく、「今後に生かせる良い経験をした」ととらえ直し、成長しようとします。
経験
ストレスに慣れているかどうかの経験値です。ストレスを乗り越えた経験が多ければ、少しくらいのストレスでは動じなくなります。
ただし、ストレスの経験値が多いだけでは、ストレス耐性が低くなっている可能性もあるため、どのように考え、どう対処したかまで聞き取る必要があります。
容量
ストレスをどのくらい受け入れられるかなどの精神的な許容力を指します。
同じストレスに晒されても容量が大きければストレスに耐えやすくなります。
一方、容量を超えている場合は体調を崩したり、離職を招いたりする可能性があります。
ストレス耐性を見極めるための質問例
候補者のストレス耐性は採用時の基準の1つになります。
面接時にストレス耐性を見極める質問例を6つの要素別にご紹介します。
感知能力
感知能力を判断する際は、候補者がストレスを感じるタイミングについて質問します。
- ストレスを感じるのはどのようなときか
- 眠れなくなることはあるか・あるとしたらどのようなときか
- 最近、不愉快に感じたことを教えてください など
回避能力
回避能力を判断する際は、理不尽な状況でどう対処するのかについて質問します。
- 強いストレスを感じたらどう考え、どう対応しますか
- 顧客からクレームを受けたらどう感じるか
- 理不尽な出来事に遭遇したらどう向き合うか など
処理能力
処理能力を判断する際はストレッサーへの対処法を質問します。具体的なエピソードを話せる候補者であれば処理能力が高いと言えます。
- 人生最大の挫折とその克服法を教えてください
- 人間関係でトラブルが生じたときどのようにして乗り越えたか
- オリジナルのストレス発散方法はあるか
- 休日はどのようにして過ごしているか
- 何をしていると気持ちが軽くなるか
- やりたくない仕事が目の前にあるとき、どう対処しますか など
転換能力
転換能力を判断する際はこれまでの失敗や挫折をどう捉え、どのように人生の糧としてきたかを質問します。
- 人生最大の失敗と、そのときどういう気持ちになったか教えてください
- 友人と喧嘩をしたときはどう対応するか
- 失敗を糧に成長できたというエピソードを教えてください
- 挫折を感じたとき、どのように立ち直りましたか など
経験
ストレスの経験を判断する際はストレスの経験の内容と併せてどう乗り越えたか、乗り越えられなかったかについて質問します。
- 「これは頑張ってやり遂げた」と自信を持って言えることはありますか
- 周りを支えながら何かをやり遂げたことはありますか
- 困難な状況に直面したことはありますか
- 学生時代に最も悩んだことは何ですか
- もともと苦手だっただが今はできるようになった、という経験はありますか など
容量
ストレスの容量を判断する際は候補者が自分のストレスの容量を把握しているかまで掘り下げることが重要です。
また、容量を超えた場合にどう対応しているかも掘り下げると良いでしょう。
- 自分のキャパシティを超えたと感じたことはありますか
- 今までの経験から自分が処理できるタスクはどのくらいだと思いますか
- 自分が抱えられるストレスの量はどのくらいだと思いますか など
面接時にストレス耐性を見抜くコツ
まず、ストレス耐性の高い人、低い人の特徴を把握し、それぞれの特徴に候補者が当てはまるかどうか確認しましょう。
ストレスに関する質問をする際は紹介した質問例を掘り下げる形で質問します。
「ストレスを感じたことはありますか」と聞くだけでは、「あります」と回答して終わる可能性もあります。
これでは具体的なエピソードを引き出せず、ストレス耐性を見極めることが困難になります。
「たとえばどのような状況で感じましたか」「そのとき何を感じましたか」「なぜそのような行動をとったのですか」と質問を重ね、深掘りする形で質問をしましょう。
面接時にストレス耐性を見抜く際の注意点
採用面接でストレス耐性を確認する際は以下の点に注意が必要です。
- 圧迫面接は避ける
- 総合的に評価する
- メンタルヘルスに関する質問は慎重に行う
- 面接だけでストレス耐性を図ることはできない
- 適性検査やバックグラウンドチェックを組み合わせて判断する
それぞれ下記で解説します。
圧迫面接は避ける
質問を掘り下げる目的は、候補者にストレスを与えることではありません。自社で健康的に継続して働けるかどうかを見極めるためです。
候補者が話したくなさそうな内容を無理に引き出したり、威圧的な態度で質問するなど、圧迫面接にならないよう注意しましょう。
総合的に評価する
前述のとおり、ストレス耐性には6つの要素があります。一つの質問だけで判断できるものではありません。
要素別に複数の質問を投げかけ、それぞれの回答を組み合わせて判断することが重要です。
メンタルヘルス疾患に関する質問は慎重に行う
メンタルヘルス疾患に関する情報は個人情報保護法の要配慮個人情報に該当します。
企業がメンタルヘルス疾患に関する質問をすることは可能だが、候補者がそれに回答する義務はないということになります。
メンタルヘルス疾患に関する質問は、状況によって候補者の心証を損ねる恐れもあります。
メンタルヘルス疾患に関する情報を取得する際は本人の同意のもと、慎重かつ適切に行わなければなりません。
面接だけでストレス耐性を図ることはできない
ここまで、面接で候補者のストレス耐性をチェックする方法を紹介してきました。
ただし、面接時間は限られているため、候補者のストレス耐性を確実にチェックするのは困難です。
近年はインターネットなどで面接対策や質問集も出回っています。
企業側がどれだけ考え抜いた質問であっても、候補者の想定内である可能性もあります。
つまり、面接での受け答えは候補者の真のストレス耐性を反映したものとは言えないということです。
面接には限界があります。面接でのストレス耐性チェックは参考程度だと考えておきましょう。
適性検査やバックグラウンドチェックなどを組み合わせて判断する
候補者のストレス耐性をより正確に把握するなら、適正検査やバックグラウンドチェック、リファレンスチェックも組み合わせると良いでしょう。
適性検査とは候補者の性格や人柄、スキルを定量的に評価する手法です。適性検査を活用することで候補者のストレス耐性を推測することが可能です。
バックグラウンドチェックは、SNSやWEB、データベース上の情報から、社会人として不適切な言動がないかなど、候補者のプライベートな姿を確認することができます。
リファレンスチェックは、過去の上司や同僚が候補者に対してどのような印象を持っていたかを確認します。
日常業務における候補者のストレス耐性や周囲との関わり方、仕事への姿勢といった情報を取得できます。
バックグラウンドチェックやリファレンスチェックを行うことで、面接とは異なる環境でのストレス耐性を知ることができるため、ストレス耐性チェックの精度を高めることにつながります。
まとめ
採用面接で候補者のストレス耐性をチェックする方法について解説しました。
残念ながら、面接だけで候補者のストレス耐性を正確にチェックするのは難しいのが現状です。
また、面接でストレス耐性をチェックする際はNG質問や圧迫面接を避ける必要があります。
適性検査やバックグラウンドチェック、リファレンスチェックを併用し、リスクを回避しつつ正確な情報を取得することが重要です。
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また、レキシルのリファレンスチェックは不特定多数の方から候補者の情報を公平に取得できます。
ぜひご活用ください。