リファラル採用とは?導入メリットや進め方、成功させるポイント
2024.11.29
採用活動では自社の求める人材を如何に低コストで採用できるかが重要になります。
一般的な採用手法としては、求人媒体への掲載や転職エージェントからの紹介がありますが。
しかし、これらの手法は掲載料や紹介フィーといった外部コストが発生します。
リファラル採用は従業員や知人から候補者を紹介してもらい、採用につなげる採用手法です。
自社を良く知る従業員からの紹介ですので、ミスマッチが生じにくく、外部コストが不要なため、近年注目されています。
この記事を最後まで読むことで以下のことがわかります。
- リファラル採用とはどういうものか
- リファラル採用のメリット・デメリット
- どのような企業に向いているか
- リファラル採用の手順
- リファラル採用を成功させるポイント
リファラル採用とは
リファラル(referral)には「紹介、推薦」という意味があります。
リファラル採用とは、従業員や知人、友人から人材を紹介してもらって採用する手法です。
リファラル採用はすでにアメリカでは広く使われている手法で、近年日本でも注目されるようになりました。
リファラル採用は求人サイトへの掲載やエージェントを介さないため、採用コストを抑えることができます。
また、自社を良く知る従業員からの紹介ですので、採用ミスマッチを防ぎ、長く活躍してもらえることが期待できます。
リファラル採用が注目される背景
近年、慢性的な少子高齢化により、労働人口は減少の一途をたどっています。
厳しい人材獲得競争に勝ち残るためには、既存の採用手法だけでなく、新しい採用手法や採用チャネルを取り入れる必要があります。
転職情報サービスを展開するマイナビが、正社員として勤務する全国20~50代の男女のうち、2022年に転職した人を対象に転職の傾向や変化について調査しました。
本調査によると、2022年時点で「リファラル採用の紹介経験がある」と回答したのは4割強で2020年以降上昇傾向であるという結果でした。
多くの企業が頭を抱える問題のひとつに採用ミスマッチによる早期離職があります。
リファラル採用は会社の状況や業務内容を良く知る従業員を通して採用するため、採用ミスマッチ防止、定着率向上の採用手法として注目されているのです。
参考:株式会社マイナビ「転職動向調査 2023年版(2022年実績) (https://career-research.mynavi.jp/wp-content/uploads/2023/03/555cd736526f1ee6b8d21539df2362f1.pdf)」※1
リファラル採用と縁故採用の違い
「従業員からの紹介」と聞くと、縁故採用とどう違うのかと疑問に思われるかもしれません。
いずれも知人の紹介で採用を行うという点は同じです。
一方、縁故採用は候補者とのつながりを重視した採用、リファラル採用は候補者が採用基準を満たしていることを重視した採用と言えます。
リファラル採用のメリット
リファラル採用のメリットには以下のようなものがあります。
- 採用ミスマッチの防止
- エンゲージメント向上
- 採用コスト削減
- 転職潜在層にアプローチできる
- 即戦力の採用につながる
- 既存社員の意識改革につながる
それぞれについて以下で解説します。
採用ミスマッチの防止
リファラル採用は従業員を仲介して採用につなげる手法です。
事前に自社の状況や社風、事業内容をリアルに候補者に伝えることができるため、入社後にギャップが生じることが少なく、ミスマッチを防ぐことにつながります。
また、現場を良く知る従業員からの紹介ですので自社が求める人材にマッチしている可能性が高くなります。
エンゲージメント向上
リファラル採用で入社した社員は、入社した時点から知り合いや仲間がいるため、安心感が得られます。
また、すでに企業風土や業務内容について理解し、共感したうえで入社するため、定着率向上、エンゲージメントの向上につながります。
採用コスト削減
求人サイトやエージェント、転職イベントを利用すると手間もお金もかかります。
しかし、リファラル採用であれば仲介した従業員へのインセンティブや採用担当者の人件費などで済みます。
通常の採用手法と比べて採用プロセスを簡略化でき、採用担当者の負担も軽減できます。
転職潜在層にアプローチできる
求人サイトやエージェント経由で応募してくる候補者は「今」転職したいと考えている人(=転職顕在層)です。
売り手市場の昨今、数多ある求人のなかから自社を見つけてもらうのは至難の業と言わざるを得ません。
一方、リファラル採用であれば、良い求人があれば転職したいと考えている人(=転職潜在層)にアプローチできます。
「あの人の紹介なら話を聞いてみようかな」など、通常なら転職市場に出てこない人材と出会うことができます。
即戦力の採用につながる
リファラル採用では、従業員と同じ経歴や属性の人材にアプローチしやすくなります。
例えば、仲介者が管理職であれば、マネジメント経験がある人材を紹介してもらえる可能性が高くなります。
エンジニアなどの特殊なスキルが求められる場合も、仲介者がエンジニアであれば、自社が求めるスキルを保有している人材に出会える可能性があります。
既存社員の意識改革につながる
リファラル採用は紹介者のキャリアの棚卸や意識改革にも効果があります。
- なぜこの会社で働いているのか
- 入社時はどのような将来像を描いていたか、今それは達成できているのか
など、人材紹介をきっかけに、自己成長やキャリアの振り返ることにもつながります。
また、ずっと同じ会社で働いていると自分の置かれた環境が当然のように感じ、自社の問題に気付きにくくなります。
他の会社で働く人と交流することで、自社の問題に気付かされることもあります。
例えば、リモートワークを導入していない企業で、候補者から「リモートワークをしていたので、それができるなら入社したい」と言われたとします。
これをきっかけに、リモートワークやフレックスタイムなどの多様な働き方に応じた仕組作りに取り組むことにつながります。
リファラル採用のデメリット
リファラル採用のデメリットには以下のようなものがあります。
- 人間関係に配慮する必要がある
- 不採用を出しにくい
- 多様性の欠如
- 公私混同した採用に見られやすい
- 情報が可視化しにくい
- 大量採用ができない
- 従業員の負担が大きくなる
それぞれ以下で解説します。
人間関係に配慮する必要がある
リファラル採用は従業員が紹介者となるケースがほとんどです。候補者と紹介者の人間関係に十分配慮する必要があります。
リファラル採用はミスマッチを防ぐ効果が期待できますが、必ず採用するとは限りません。
不採用とした場合や早期離職した場合はフォローが必要になります。
また、おススメされて選考を受けてもらっているため、不採用を出しにくいということもあります。
さらに、どちらか一方が退職すると、それについていってしまったり、「聞いていた話と違う」などの理由で紹介者との関係が悪化したりすれば、職場の雰囲気が悪化する恐れがあります。
入社後に知人同士がグループ化してしまい、他の従業員がコミュニケーションをとりづらくなるケースもあります。
多様性の欠如
既存の従業員は仕事に対する価値観が似ていたり、同じような経歴やスキルであるケースが多いです。
従業員から紹介された候補者も同じような価値観や経験の人材であることが多く、人材の同質化が起こる恐れがあります。
価値観が近いことは組織力を高める意味では重要な要素ですが、過度に同質化が進むと思考の偏りが進みます。
その結果、イノベーションや改革が起きにくく、企業の成長が妨げられる恐れがあります。
公私混同した採用に見られやすい
前述のとおり、リファラル採用で入社した社員は紹介者とグループ化するケースがあります。
業務中に必要以上にコミュニケーションを取っていると、「利害関係があるのではないか」など公私混同の疑いをかけられる恐れがあります。
情報が可視化しにくい
通常の採用活動では、採用サイトやエージェントから紹介された人材の履歴書や職務経歴書を確認し、自社の求める人材かどうかを判断します。
一方、リファラル採用では「こういう人がいます」という口頭での伝達になるケースが多いです。
口頭での情報伝達はミスマッチや温度差を生みやすくなります。
例えば、採用担当者が「とりあえず話だけでも聞いてみる」という温度感の場合、いつまで経っても採用にいたらないことがあります。
紹介者が人材を紹介したつもりでいても、採用担当者は「紹介を受けた」と受けっていないこともあります。
リファラル採用を導入する際は紹介者と採用担当者の情報共有と意識統一が非常に重要です。
紹介する際は企業が求める人材を可視化し、紹介者と採用担当者の間で密にコミュニケーションを取るといったプロセスを確立しておきましょう。
大量採用ができない
リファラル採用は従業員の知り合いに限られます。そのため、大量採用には向きません。
また、社内にリファラル採用が浸透していなければ、従業員からの紹介が受けられる保証もありません。
紹介者の評価項目に候補者の人数がある場合、人事評価に不公平感が生まれたり、人材の質が低下したりする恐れもあります。
従業員の負担が大きくなる
リファラル採用は従業員に採用活動の一端を担ってもらうことになります。
本業に加え、採用活動を行うことになるため、紹介者となる従業員の負担が大きくなってしまいます。
また、従業員が多忙な場合、採用活動が進みにくくなります。
リファラル採用はどのような企業に向いているのか
リファラル採用に向いているのは以下のような企業です。
- 従業員満足度(ES)が高く、協力度が高い
- 複数の採用実績がある
- スタートアップ・ベンチャー企業
それぞれ以下で解説します。
従業員満足度(ES)が高く、協力度が高い
リファラル採用は従業員の協力があってこそ成り立ちます。
自社のことを紹介したいと思っていなければうまく行きません。
そのため、従業員の会社への満足度が高い企業にこそ適した手法と言えます。
また、リファラル採用は従業員の負担が大きくなります。従業員が自社のために協力的でなければ運用が難しいと言えます。
複数の採用実績がある
リファラル採用を本格的に始める前から、従業員の紹介で採用した実績が複数ある企業もリファラル採用を導入しやすいと言えます。
従業員が自社を紹介したケースが複数あるということは、従業員の満足度が高いということ、協力が得られやすいということが言えます。
スタートアップ・ベンチャー企業
リファラル採用はまさにこれから成長していこうとするスタートアップやベンチャー企業に向いている手法です。
事業拡大期にある組織は求める人材像が明確であることが多いです。
このとき、如何に自社に適した人材を獲得するかが非常に重要になります。
しかし、求人サイトやエージェントの活用には外部費用がかかります。
また、売り手市場の昨今、新興企業にとって、数多ある求人のなかから自社を見つけてもらうことは難しいと言えます。
リファラル採用なら従業員の人脈を生かし、抵コストで自社にマッチした人材獲得が期待できます。
リファラル採用の導入手順と進め方
リファラル採用の導入手順と進め方は以下のとおりです。
- リファラル採用が自社に適しているか確認する
- リファラル採用の制度設計・ルール制定
- インセンティブ(報酬)の設定
- 採用基準の明確化
- 社内告知
- リファラル採用のプロジェクトを発足する
- 全社に広げていく
- PDCAサイクルを回す
それぞれ順を追って説明します。
リファラル採用が自社に適しているか確認する
前項で説明したとおり、リファラル採用が向いている企業と向いていない企業があります。
リファラル採用を導入しても、うまく機能しなければ意味がありません。
まずは従業員が自社のことをどう考え、他人に紹介できる状態かをチェックしましょう。
このときに指標となるのがeNPS(Employee Net Promoter Score)です。
eNPSは大手コンサルティング会社のベイン・アンド・カンパニーが開発したNPS(顧客ロイヤルティ指標)を、Appleが従業員のロイヤルティマネジメントに活用したものです。
これと比較される言葉に従業員満足度があります。
従業員満足度では、今の会社に満足しているかどうかという漠然とした質問をするものです。
一方、eNPSは自分が働いている会社を他人に勧めたいと思うかどうかという具体的な質問をします。
eNPSの質問をされた従業員は周りの人間を思い浮かべ、本当におすすめできる企業かどうかを真剣に考えることになります。
そのため、eNPSを調査することで、より現状に合った職場の状況を把握できます。
このとき、リファラル採用に対する心理的・物理的ハードルや人脈の有無についてもデータ化しておきましょう。
リファラル採用の制度設計・ルール制定
次にリファラル採用の目標、制度設計、ルール設定を行います。
具体的には以下のような内容を詳細に決めましょう。
- リファラル採用を導入する目的
- 求める人物像(人柄、経験、スキルなど)
- 紹介フロー
- 紹介後の選考プロセス
- 社内にリファラル採用を周知させる方法
- 問い合わせ窓口 など
インセンティブ(報酬)の設定
目標や制度設計を行ったらインセンティブについても決めておきます。
リファラル採用は従業員に採用活動の一端を担わせる手法です。
そのため、多くの企業では、採用に至った際に紹介した従業員にインセンティブを支給する制度を設けています。
インセンティブを設けることで従業員のモチベーションにもつながるため、積極的に活動することが期待できます。
このとき、候補者の数だけを基準にすると、インセンティブ目当てでむやみやたらに紹介する可能性もあります。
これは採用のミスマッチにつながるうえ、採用担当者の負担も増えてしまいます。
インセンティブを明確に定義したら就業規則に記載します。
このとき、以下の項目についても記載し、透明性を高めましょう。
- 報酬金額
- 支払い条件
- 支給タイミング など
インセンティブは候補者の質と数のバランスを見て決めましょう。
採用基準の明確化
自社の求める人材や採用基準を明確化し、従業員に共有します。
従業員が「自社に紹介したい」と考える人材がいたとしても、企業が求める人物像とは乖離がある場合もあります。
人物像が不明瞭だと、紹介数が増えても採用に至らず、コストだけが増えてしまいます。
自社の求める人物像が明らかであれば紹介しやすくなりますし、ミスマッチも減らすことになります。
このとき、スキルや経験、人柄だけでなく、年齢や志向性なども明確化し、共有しておきましょう。
未経験者を採用する場合も「〇〇の経験があれば望ましい」と伝えることで、紹介者のイメージが沸きやすくなります。
社内告知
リファラル採用の制度を確立させたら社内に告知をします。
社内に告知する方法には以下のようなものがあります。
- 企業代表によるメッセージや方針の発信
- 社内SNS
- 社内メール
- 社内報
- 全社研修を開催
- ポスター掲示
- 周知用のコンテンツを作成する など
一度伝えただけでは周知されない可能性があります。繰り返し告知を行うことが重要です。
リファラル採用のプロジェクトを発足する
リファラル採用は全社プロジェクトですが、最初から社員全員に知人を紹介してくれというのは無理があります。
まずはエンゲージメントの高い従業員を集め、プロジェクトを発足します。
プロジェクト発足の際は最初にキックオフミーティングを開催しましょう。
キックオフミーティングでは以下の項目について話し合いましょう。
- 問題意識:現状の採用手法の問題点を共有する
- 目的意識:リファラル採用を実施する理由を明確にする
- ゴールの共有:求める人材像を明確にする
- 手段・手法:紹介から内定までのステップを共有する
まずは経営層と従業員数名でプロジェクトを立ち上げ、3か月程度で一人以上の採用を目指しましょう。
このとき、特定の部署だけに偏らないよう、採用以外の部署のメンバーも加えるようにしましょう。
こうすることで、多面的な視点で進めやすくなり、実行時の協力も得やすくなります。
全社に広げていく
プロジェクトが軌道に乗り始めたら、少しずつメンバーを増やしていきます。
増員したメンバーも含めて数名でチームを作り、同様に3か月程度で一人以上の採用を目指します。
何度か繰り返したのち、全従業員にリファラル採用を広げていきましょう。
このとき、すでにリファラル採用のメリットや注意点などの知見が得られているため、スムーズに活動を進めることができます。
PDCAサイクルを回す
リファラル採用を開始したらそれで終わりではありません。
リファラル採用の課題や結果を振り返り、改善していき、PDCAを回ります。
半年経過しても誰からも紹介がない場合は周知徹底が不十分である可能性があります。
周知徹底されているにも関わらず誰からも紹介がないのであれば、インセンティブが低い、または従業員の問題意識の低さ、負担が大きいという可能性もあります。
問題点を抽出し、改善していきましょう。
リファラル採用を成功させるためのポイント
リファラル採用を成功させるポイントには以下のようなものがあります。
- 具体的な目標・計画を立てる
- 採用基準の透明性を高める
- 従業員満足度を上げる
- 多様性の確保を意識する
- リファラル採用の社内告知や社員への周知の徹底
- カジュアル面談や体験入社など紹介のハードルを下げる
- 報酬・評価制度を適切に設定する
- 不採用時の仕組みやフォロー体制を作る
- 採用後も定期的にフォローする
- リファラル採用以外の手法も併用する
- プライバシーの確保
- 長期的な視点が必要
それぞれ以下で解説します。
具体的な目標・計画を立てる
目標や計画が不明確だと、従業員も協力しようがありません。
どの部署にどのような人材がいつまでに何名必要なのか具体的に設定しましょう。
厳格に定めてしまうと、採用活動の質が低下する恐れがあります。
実現可能性も踏まえて定めましょう。
採用基準の透明性を高める
リファラル採用も通常の採用と同様に採用基準を明確にし、紹介者と候補者に周知することが重要です。
また、透明性を高めるために、選考プロセスごとの採用基準も明確にし、双方に提示しましょう。
従業員満足度を上げる
リファラル採用は従業員が知人・友人に自社を「おススメする」採用手法です。
従業員が自社に魅力を感じていなければ成り立ちません。
そのため、従業員満足度を上げることがリファラル採用の鍵と言えます。
従業員満足度を上げるためには以下の点を改善していくことが有効です。
- 労働環境の改善
- 適材適所の人材配置
- 透明性が高く公平な評価制度 など
多様性の確保を意識する
リファラル採用は同じような経歴・価値観の人間が集まりやすくなります。
企業が成長し続けるためには、新しい価値観を取り込み、改革やイノベーションを起こすことが重要です。
多様性を確保するためにも、企業文化や理念とのマッチングを重視しすぎないように心がけましょう。
リファラル採用の社内告知や社員への周知の徹底
社内告知をしたものの、リファラル採用の認知度が上がらなかったり、制度が形骸化したりすることもあります。
このような場合は社内告知や社員への周知の仕方を変える必要があります。
例えば以下のような方法があります。
- 定期的に社内告知を行う
- オンラインで告知するだけでなく、口頭で温度感も伝える
- 現場への影響力があるメンバーをプロジェクトに加える
- 今月何人採用されたかなどの進捗状況や成果を全社に公開する など
カジュアル面談や体験入社など紹介のハードルを下げる
仲介となる従業員は採用担当ではありません。そのため、人材紹介となると身構えてしまう可能性があります。
カジュアル面談やランチ会、ミートアップなど、紹介のハードルを下げることもポイントです。
また、従業員からの紹介が進まないという場合は以下のような悩みや不安を抱えている可能性があります。
- 知人が自社に興味があるかわからない
- 紹介の仕方がわからない
- 会社との調整が面倒
- 費用負担はどうなるのか
- 不採用になったら紹介者との関係が悪化しないか心配 など
従業員の心理的負担を軽減し、紹介行動を起こしやすくするためにも、以下のような施策を取り入れると良いでしょう。
- 紹介者向けの勉強会を実施する
- 紹介フローを作成する
- リファラル採用向けQ&A資料を準備する
- 紹介人数・採用人数で評価しない
- 会食費や交通費の支給 など
報酬・評価制度を適切に設定する
インセンティブは次のいずれかに対する支払いになります。
- 採用成功
- 採用活動
1は2より金額を高めに設定するのが一般的です。2は「ランチミーティングを実施した」「人事に一人紹介した」などの行為に対して支払います。
インセンティブは1~10万円程度で設定する企業が多いと言われています。
例えば、設定金額10万円の場合、「入社したら5万円」「入社後〇か月経過したら5万円」などとわけて設定するケースもあります。
なかには30万円程度の高額な報酬を設定している企業もあります。あまりに高額すぎると採用コストが増大するため注意しましょう。
インセンティブは何に対してだけでなく、いつ・どのように支給するのかまで細かく決めましょう。
都度支給の場合は賞与と合算した回数が3回以下か4回以上かによって算定基準が変わります。
そのため、賞与と合算して支給すると定めている企業が多いです。
自社の企業理念やカルチャーに合ったインセンティブを設けることも重要です。
例えば、企業によっては有給の付与や自社サービスの割引などを設定するケースもあります。
各種ギフト券・商品券をインセンティブに設定する企業もあります。
不採用時の仕組みやフォロー体制を作る
リファラル採用は必ず採用にいたるとは限りません。
不採用となったとき、紹介者が気を悪くしたり、関係が悪化したりしないような仕組みづくりが重要です。
まずは事前に候補者、紹介者の両方に自社がどのような人材を求めているか伝えておきます。
「通常の選考と同じ基準で進めるため、不採用になる可能性もあります」と伝えておきましょう。
不採用となった場合は候補者と紹介者の両方に不採用にいたった理由を説明します。
このとき、候補者の能力を否定するのではなく、自社の求めているものとは異なることを丁寧に伝えます。
また、従業員には「紹介してくれてありがとう」、候補者には「応募してくれてありがとう」という感謝の気持ちもあわせて伝えます。
こうすることで、候補者が納得しやすくなりますし、紹介者も自社が求める人材像がより明確になり、次の紹介につながりやすくなります。
採用後も定期的にフォローする
晴れて採用にいたった場合も定期的なフォローが重要です。
リファラル採用で入社したからといって、必ずミスマッチが起きないというわけではありません。
上司との定期的な面談や相談しやすい環境作りなど、オンボーディングを充実させることが重要です。
リファラル採用以外の手法も併用する
リファラル採用は人材が偏る可能性がある手法です。
多様な人材を採用するように意識しても、どうしても同じような人材が集まってしまう可能性があります。
また、リファラル採用は大量採用したい場合には適しません。
従業員に協力を強要したり、採用人数のノルマを課してしまったりすれば、エンゲージメントが低下し、不信感を招きかねません。
多様なスキルや価値観の人材を採用したい、採用人数を確保したいという場合は求人広告やエージェントなどの別の採用手法も併用することをおすすめします。
プライバシーの確保
リファラル採用プロセスで得た候補者の情報はプライバシー情報として取り扱います。
紹介者や他の採用担当者、関係者に不適切に共有しないように情報管理を徹底しましょう。
また、事前にリファラル採用に携わる従業員にも候補者の情報の扱い方に対する教育を徹底しましょう。
長期的な視点が必要
リファラル採用は通常の採用と比べて長期的な視点が必要です。
目標を定めることは必要ですが、あまりに短期的な成果に拘ってしまうと、制度の健全性や品質を損ないかねません。
例えば、「自社で働くことに興味を持っている人とつながる」をゴールにするのも良いでしょう。
こうすることで、リファラル採用で関係性を築き、新しいプロジェクトが始まるタイミングや自社のフェーズが変わったタイミングですぐに声をかければ、機会損失が少なくなります。
インセンティブ(報酬)が違法とならないよう注意する
リファラル採用は法的には従業員に採用業務を委託する制度です。
業務以外で行う場合は厚労省に届出が必要になります。
業務で行う場合は届出や許可は不要です。
しかし、インセンティブが給与と同等以上の金額になると6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられる可能性があります(職業安定法65条6号)。
インセンティブが違法とならないように注意しましょう。
バックグラウンドチェックやリファレンスチェックで精度を高める
リファラル採用はミスマッチを抑える効果が高い採用手法です。
しかし、紹介者は候補者のすべてを把握しているわけではありません。
このとき、採用前にバックグラウンドチェックやリファレンスチェックを行うことで、採用精度の向上につながります。
バックグラウンドチェックは候補者の主張する経歴やスキルに虚偽が無いかを確認するものです。
一方、リファレンスチェックは候補者の前職の勤務先にヒアリングを行い、候補者の働きぶりをチェックするものです。
バックグラウンドチェックを行うことで候補者や紹介者の主張する内容に虚偽がないかを確認することができます。
また、リファレンスチェックを行うことで、紹介者とは違った視点で候補者を評価することができます。
まとめ
リファラル採用はミスマッチを防ぎながら、コストを抑えることができる採用手法です。
しかし、安易に導入すると採用活動が遅々として進まなかったり、人材の質が低下したりする恐れがあります。
また、紹介者と候補者の関係悪化やのエンゲージメントの低下も招く恐れがあります。
ここで紹介した内容を参考にして、長期視点で自社に合った人材を確保するようにしましょう。
※1株式会社マイナビ「転職動向調査 2023年版(2022年実績)」