担当者向け基礎知識

ジョブホッパーの特徴とは?採用メリットと優秀人材を見極める方法

2025.05.28

ジョブホッパーの特徴とは?採用メリットと優秀人材を見極める方法

ジョブホッパーとは短期間に転職を繰り返す人を言います。

日本では転職を繰り返す人に対してあまり良いイメージは持たれない風潮があります。

しかし、近年は転職が珍しいことではなくなり、人材の流動化も活発化しています。

採用しようとした候補者の転職回数を見て、判断に迷った採用担当者も少なくないでしょう。

この記事を最後まで読むことで以下のことがわかります。

  • ジョブホッパーの特徴
  • 優秀なジョブホッパー・キャリアビルダーの特徴
  • ジョブホッパーを採用するメリット・デメリット
  • 優秀なジョブホッパーを見極める方法
  • ジョブホッパーを採用する際の注意点
  • 優秀なジョブホッパーに定着してもらう方法

ジョブホッパーとは

ジョブホッパー(job hopper)とは短期間に転職を繰り返す人のことを言い、「転職を繰り返す」という意味の英語「job-hopping」が語源です。

明確な定義はありませんが、以下のようなケースでジョブホッパーと呼ばれることが多いです。

  • 2、3年のうちに転職を繰り返している
  • 在籍期間が一年未満の転職を繰り返している

ジョブホッパーとキャリアビルダーの違い

ジョブホッパーと似た言葉にキャリアビルダーがあります。

ジョブホッパーは短期間に何度も転職を繰り返す人を指す一方、キャリアビルダーは計画的に転職を重ねることでキャリアの積み上げに成功している人を言います。

どちらも転職を重ねているという共通点がありますが、キャリアギルダーは転職を通じてキャリアを形成し、収入や待遇が上がっているという特徴があります。

ジョブホッパーの特徴

ジョブホッパーに共通する特徴には以下のようなものがあります。

  • 行動力がある
  • 自分の考えを大切にしている
  • 好奇心が旺盛
  • 執着しない

それぞれについて下記で解説します。

行動力がある

ジョブホッパーは良くも悪くも行動力があります。

思い立ったが吉日、あれこれ悩むくらいなら動いたほうが早いとばかりに行動を起こします。

そのため、退職・転職への決断も早く、少しでも「自分に合わない」と思ったり、やりたいことが見つかればすぐに退職・転職する傾向があります。

積極的に行動する、失敗を恐れず挑戦する人材という点は魅力でもありますが、深く考えずに行動する、すぐに辞めてしまうリスクもあります。

自分の考えを大切にしている

ジョブホッパーは自分の考えを大切にしている人が多いです。

仕事のやり方やこだわりが強く、考え方を変えてまでその仕事に従事したいとは思わない傾向があります。

そのため、「協調性がない」「自分勝手」と思われたり、自分と考えが合わないと思ったらすぐに辞めてしまうことがあります。

好奇心が旺盛

ジョブホッパーはすぐに新しいことに興味が移行する傾向があります。

そのため、新たに興味を持った企業や業務、スキルがあれば、すぐに転職することがあります。

好奇心旺盛であることは、「チャレンジ精神が旺盛」「積極性がある」など、自社にとってプラスに働くこともあります。

しかし、当人が満足すればすぐに別の仕事に興味が移ってしまう可能性があります。

そのため、「継続して努力することができない」「忍耐力がない」「飽き性」である傾向があります。

執着しない・固執しない

ジョブホッパーは「執着しない」「固執しない」というドライな一面も持ち合わせています。

人間は何かに執着したり固執することで、客観的な判断ができなくなったり、視野が狭くなることがあります。

人生においても、これまで築き上げたキャリアや仕事に固執するあまり、ビジネスチャンスやキャリアチェンジのタイミングを逃すこともあります。

ジョブホッパーは執着したり、固執しないため、見切りをつけるのが早いという特徴があります。

その一方で何度も転職を繰り返してしまう傾向があります。

優秀なジョブホッパー・キャリアビルダーの特徴

優秀なジョブホッパー・キャリアビルダーの特徴

ジョブホッパーを採用する際は優秀なジョブホッパーやキャリアビルダーの特徴を把握し、見抜く必要があります。

優秀なジョブホッパーやキャリアビルダーの特徴には以下のようなものがあります。

  • 仕事内容・転職軸に一貫性がある
  • 転職理由と転職軸に矛盾がない
  • 転職によって年収やポジションが向上している

それぞれについて下記で解説します。

仕事内容・転職軸に一貫性がある

優秀なジョブホッパー、キャリアビルダーは転職の目標が明確です。

そのため、経験した仕事内容やスキル、ポジションに一貫性があります。

様々な業界を渡り歩いていたとしても「営業職」という職種は変わっていない、また、職種は変わっても〇〇業界という業種は変わらないという場合などが該当します。

また、仕事内容だけでなく、転職の「軸」も重要です。

転職軸とは「転職で譲れない条件」のことを言います。

優秀なジョブホッパー・キャリアビルダーは転職軸が一貫しています。

なお、転職軸は履歴書や職務経歴書では見えてこないため、面接時に本人から説明してもらうことが重要です。

転職軸の確認の方法については「職務経歴・転職軸に一貫性があるかどうかを確認する」にて後述します。

転職理由と転職軸に矛盾がない

転職軸にブレがなくても、転職理由と矛盾があればキャリアアップを目的とした転職とは言えません。

例えば、転職軸が「〇〇のスキルを高めること」であれば、その前の職場では「スキルを高める機会がない」「より〇〇に注力した企業で働きたい」という転職理由になるでしょう。

候補者の志望動機や転職理由に矛盾がなければ一貫性があると言えるでしょう。

転職によって年収やポジションが向上している

職歴を重ねるたびに年収や役割、ポジションが向上していることも重要です。

優秀なジョブホッパー、キャリアビルダーはキャリアアップ・スキルアップを目的に転職を繰り返しているはずです。

そのため、転職する際はより良い条件で入社していると考えられます。

ジョブホッパーを採用するメリット

ジョブホッパーを採用するメリット

ジョブホッパーを採用するメリットには以下のようなものがあります。

  • 斬新なアイデアが生まれやすい
  • 成長意欲が高い
  • 判断力が高い・意思決定が早い
  • 既存従業員がノウハウを吸収できる

それぞれについて下記で解説します。

斬新なアイデアが生まれやすい

ジョブホッパーは転職を繰り返しているため、他の企業で様々な経験を積んでいます。

そのため、同じ企業で長く働く従業員と比べて多角的に物事をとらえやすく、新しいアイデアが生まれやすいと言えます。

成長意欲が高い

ジョブホッパーは新しいことに挑戦する意欲やモチベーションが高く、「スキルを伸ばしたい」「経験を積みたい」といった成長意欲が高い傾向あります。

成長意欲が高い人材が職場にいることで、他の従業員も刺激され、自ら成長しようとする組織作りが促されやすくなります。

判断力が高い・意思決定が早い

ジョブホッパーは場数が多いため、判断力が高く、意思決定が早い傾向があります。

そのため、仕事の処理スピードが早く、物事を前に進めやすくなることが期待できます。

既存従業員がノウハウを吸収できる

転職を繰り返すことで、ジョブホッパーは様々な経験を積んでいます。

貴重な職務経験やノウハウを展開し、既存従業員が吸収できれば、自社にとってプラスの財産になります。

ジョブホッパーを採用するデメリット

ジョブホッパーを採用する際は以下のデメリットについても知っておきましょう。

  • すぐに辞めてしまう可能性がある
  • 組織の和を乱す恐れがある
  • スキルが身についていない可能性がある

それぞれについて下記で解説します。

すぐに辞めてしまう可能性がある

ジョブホッパーが自社で転職を終えるとは限りません。

ジョブホッパーは好奇心が旺盛な反面、飽きやすく、意思決定が早いため、すぐに離職する可能性もあります。

早期に離職されれば、採用コストや育成コストが無駄になってしまいます。

組織の和を乱す恐れがある

ジョブホッパーは自分の考えを大切にするあまり、周囲との調和がとれない可能性があります。

その結果、組織全体の力が弱まり、生産性が低下する恐れがあります。

スキルが身についていない可能性がある

ジョブホッパーは成長意欲が高いことから、自分の能力を過大評価する傾向があります。

そのため、採用する企業側が期待していたスキルが身についていないこともあります。

また、あまりに短期間で転職を繰り返していると、スキルが身に付く前に転職してしまっていることもあります。

優秀なジョブホッパーを見極める方法

優秀なジョブホッパーを見極める方法

転職回数が多い候補者が応募してきた際は、優秀なジョブホッパー・キャリアビルダーかどうかを見極める必要があります。

優秀なジョブホッパー、キャリアビルダーを見極める方法としては以下のようなものがあります。

  • 職務経歴・転職軸に一貫性があるかを確認する
  • 転職軸と転職理由の整合性を確認する
  • 給与やポジションの変遷を確認する
  • 前職で実績を出せたかどうかを確認する
  • 自身の強みや弱みを理解しているかを確認する

それぞれについて下記で解説します。

職務経歴・転職軸に一貫性があるかどうかを確認する

前述のとおり、優秀なジョブホッパーは目標やキャリアビジョンが明確で、職務経歴や転職軸に一貫性があります。

そのため、候補者を見極める際は以下の点を確認すると良いでしょう。

  • 企業選びのポイント、そのなかで特に重視するポイント
  • 転職して何をしたかったか、それに向けて何に取り組んだか
  • 志望動機
  • 転職理由 など

転職軸と転職理由の整合性を確認する

優秀なジョブホッパーは転職軸と転職理由に矛盾がありません。

異なる業種、職種で転職した場合はどのような理由で転職しようと思ったかを探ります。

「自分に合わないと思った」「人間関係に嫌気がさした」など、前職への不満が垣間見える場合は注意しましょう。

給与やポジションの変遷を確認する

転職のたびに給与やポジションが上がっている場合、優秀なジョブホッパーと言えるでしょう。

反対に待遇やポジションが下がっている場合は退職せざるを得ない理由がある、忍耐力がない人材の可能性があります。

もちろん、家庭の事情などで仕事のボリュームを下げなければならなかったというケースもあります。

収入やポジションが低下している場合はどのような理由で転職したのかを聞き出すことが重要です。

前職で実績を出せたかどうかを確認する

企業や業種によっては昇進や昇給の機会がないこともあります。

そのような場合であっても、優秀なジョブホッパーであれば、成果を求め、実績を残していることが多いです。

前職でどのような実績を残したかについて確認しましょう。

このとき、本人の自己申告だけでなく、バックグラウンドチェックやリファレンスチェックも併用すると良いでしょう。

バックグラウンドチェックは提出書類や本人の主張に虚偽がないかを確認するものです。

一方、リファレンスチェックとは、候補者の前職の職場にヒアリングを行い、実績や勤務態度などを確認するものです。

採用前にバックグラウンドチェックやリファレンスチェックを実施することで情報の信頼性を確保することができます。

自身の強みや弱みを理解しているかを確認する

ジョブホッパーは自分の力を過大評価しがちです。

一方、優秀なジョブホッパー・キャリアビルダーなら、自分の力を過大評価せず、自分の弱みや強みを客観的に言語化できます。

自分の失敗を失敗と認めない人、弱みに気づけない人は採用後にトラブルを招く恐れがあります。

面接では自身の弱みや失敗について聞き出し、それをどのように受け止め、どう乗り越えたのかまで深掘りして確認すると良いでしょう。

ジョブホッパーを採用する際の注意点

ジョブホッパーを採用する際の注意点

ジョブホッパーを採用する際は以下の点に注意しましょう。

  • スキルや経験を見極める
  • 自社の事業フェーズを考慮する
  • キャリアビジョンを確認する
  • 早期離職を前提に採用する
  • バックグラウンドチェック・リファレンスチェックを行う

それぞれについて下記で解説します。

スキルや経験を見極める

前述のとおり、ジョブホッパーはスキルが身に就く前に転職している可能性があります。

採用する際は自社が求めるスキルや経験が備わっているかを見極めましょう。

具体的な手法としては以下のようなものがあります。

  • インターンシップ・体験入社制度を導入する
  • 面談・面接に現場の従業員が同席させ、経験やスキル面をチェックする
  • スキルテストやオンライン試験の実施 など

自社の事業フェーズを考慮する

自社の事業フェーズを考慮することも重要です。

創業期や成長期は企業自体が変化し続けている状態のため、多少従業員が出入りしても影響が少ないでしょう。

しかし、新規事業やブランドの立ち上げといった拡大フェーズでは、ある程度腰を据えて取り組んでくれる人材のほうが望ましいため、ジョブホッパーの配属は避けたほうが良いでしょう。

キャリアビジョンを確認する

採用前に候補者の今後のキャリアビジョンを確認し、長く働いてくれそうかどうかを判断しましょう。

直接的に聞いても「定年まで働く」「長く働く」と答えることが想定されます。

そのため、具体的にどのようなキャリアビジョンを描いているのかを聞き出し、「どのくらい活躍してくれそうか」を客観的に判断することが重要です。

早期離職を前提に採用する

どれだけ入念に見極めを行ってもジョブホッパーは早期離職するリスクがあります。

そのため、ジョブホッパーは早期離職を想定したポジションに配属することも重要です。

具体的には、新しい事業やサービスの立ち上げといった腰を据えて取り組む必要のなる部署への配属は避けましょう。

また、少数精鋭で回している部署やプロジェクトへの配属も避けましょう。

少数精鋭の部署やプロジェクトは一人ひとりが担う責任や役割が大きくなります。

そのため、ひとりでも欠けてしまうとその他のメンバーへの負担が大きくなり、組織力の低下にもつながる恐れがあります。

バックグラウンドチェック・リファレンスチェックを行う

ジョブホッパーは自己評価が高い傾向があります。

そのため、本人の主張する経歴やスキルが適切なものかどうか見極めなければ大きな損失を被る可能性があります。

また、なかには問題を起こして退職せざるを得なかったケースや忍耐力がないことによる転職もあります。

ジョブホッパーを採用する際はバックグラウンドチェックを行い、経歴や主張に虚偽がないかを確認することが重要です。

また、状況に応じてリファレンスチェックも行い、働きぶりや実績も確認しておくと良いでしょう。

優秀なジョブホッパーに長く活躍してもらう方法

優秀なジョブホッパーに長く活躍してもらう方法

優秀なジョブホッパー、キャリアビルダーを見極め、採用したあとは、できるだけ長く活躍してもらう工夫が必要です。

具体的な方法をご紹介します。

  • 柔軟な働き方を提供する
  • 相談しやすい環境を整える
  • キャリアアップのサポート体制を整える
  • 公平公正な評価制度を整え、入社時点で提示しておく

それぞれについて下記で解説します。

柔軟な働き方を提供する

柔軟な働き方の提供は優秀なジョブホッパー、キャリアビルダーを引き留める方法のひとつです。

テレワークやフレックスタイム、時短勤務など、ワークライフバランスの改善を図ることで仕事と家庭の両立がしやすくなり、優秀な人材の離職を防ぐことにつながります。

相談しやすい環境を整える

組織の風通しを改善し、相談しやすい環境を整えることも重要です。

入社後に悩みや不満が生じたときに、情報交換や情報共有できる環境があれば、心理的安全性の確保やエンゲージメント向上にもつながります。

具体的には以下のような方法が有効です。

  • 交流会
  • 社内SNSの導入
  • 社内イベント など

なお、ジョブホッパーは周囲との調和が取り難い傾向があります。前述のような交流会やイベントでは悩みや不満を引き出せないこともあります。

ジョブホッパーのタイプによっては以下のような施策が有効なケースもあります。

  • 1on1ミーティング
  • 相談窓口の設置 など

キャリアアップのサポート体制を整える

ジョブホッパーは「キャリアップが見込めない」「スキルアップの機会がない」と判断すれば、すぐに離職する可能性があります。

スキルアップ、キャリアアップを支援する制度を構築することも重要です。

こうすることで「転職しなくてもキャリアアップが叶う」という安心感が生まれ、離職防止につながります。

公平公正な評価制度を整え、入社時点で提示しておく

透明性が高く、公平公正な評価制度を整えることも大切です。

このとき、入社する段階で昇給条件や評価制度を提示し、将来的なキャリアビジョンが描けるようにしておくと良いでしょう。

実力や実績が正当に評価されることがわかれば、エンゲージメントが向上し、離職防止につながります。

まとめ

ジョブホッパーを採用する際は特徴を理解し、ポジションや事業フェーズを加味したうえで採用することが重要です。

ジョブホッパーは協調性に欠ける、忍耐力がないなどのマイナス面ばかりに目が行きがちですが、優秀な人材も存在します。

優秀な人材を採用できれば豊富な経験やノウハウを吸収でき、組織に新しい風を吹かせることが期待できます。

ここでご紹介した内容を参考に、ジョブホッパーの特徴と優秀な人材の特徴を理解し、適切なポジションで採用しましょう。