採用手法・課題対策

ダイレクトリクルーティングとは?他の手法との違いと成功させるコツ

2024.12.20

ダイレクトリクルーティングとは?他の手法との違いと成功させるコツ

労働人口減少が慢性化し、多様な採用手法が模索されるなか、企業が直接アプローチするダイレクトリクルーティングが注目されています。

企業が直接アプローチするため、有名企業より知名度や資力面において不利になりやすい企業でも活用しやすいという点が特徴です。

この記事を最後まで読むことで以下のことがわかります。

  • ダイレクトリクルーティングとは何か
  • ダイレクトリクルーティングと他の採用手法の違い
  • ダイレクトリクルーティングのメリット・デメリット
  • ダイレクトリクルーティングに向いている企業
  • ダイレクトリクルーティングの手順
  • ダイレクトリクルーティングを成功させるポイント

ダイレクトリクルーティングが注目される背景

ダイレクトリクルーティングが注目されている背景には以下のようなものがあります。

  • 人材獲得競争の激化
  • ITツールの発達
  • 採用コストの低減
  • ジョブ型雇用の普及

それぞれについて以下で解説します。

人材獲得競争の激化

日本では少子高齢化を背景に、労働人口が減少し続けています。

多くの企業が人材不足に悩む一方で求職者が企業を選ぶという売り手市場に変化しています。

このような状態では、企業が求人を出しても求職者に見つけてもらえない、自社にマッチした人材が応募してこないという状況になります。

そのため、自社に適した求職者に対し、企業側が積極的にアプローチする採用手法が求められるようになりました。

ITツールの発達

近年、ITツールが大きく発展し、広く普及するようになりました。

ダイレクトリクルーティングサービスもこのITツールの発展によって普及したと言えます。

従前の日本では終身雇用が当たり前、転職は一般的ではありませんでした。

「転職をしたい」と思っても、自社以外の企業が自分に合っているか知りようがなく、一個人と企業が接点を持つのも困難でした。

近年、ITツールが発展・普及し、SNSなどを通して様々な情報を入手できます。

また、企業と個人が直接コミュニケーションをとることも可能になりました。

採用コストの低減

人材獲得競争が激化すると、採用広告やブランディングにコストがかかってしまいます。

また、求人媒体へ掲載する場合、採用に結びつかなくても費用がかかってしまいます。

そのため、少しでも採用コストを抑えるための手法が求められるようになりました。

ダイレクトリクルーティングなら採用コストを抑えつつ、自社の求める人材にピンポイントでアプローチできるため、近年注目を集めています。

ジョブ型雇用の普及

社会構造の変化によってジョブ型雇用を導入する企業が増えつつあります。

ジョブ型雇用とは、企業と求職者が合意したジョブ(=職務内容)に基づいて雇用関係を結ぶことを言います。

一方、従来の日本の雇用はメンバーシップ型と呼ばれ、職務内容を限定せずに人材を採用するシステムです。

同じ会社で長期間働くことを前提とするため、「就社」と呼ばれることもあります。

ジョブ型雇用では企業は経営戦略に沿ってジョブを定め、職務遂行に適した人材を採用します。

ジョブを介した雇用契約なので、企業と個人が対等な関係になります。

また、他の雇用形態と比べて、ジョブ型雇用は採用基準が明確なため、ダイレクトリクルーティングと親和性が高いと言えます。

ダイレクトリクルーティングと他の採用手法との違い

ダイレクトリクルーティングと他の採用手法との違い

ダイレクトリクルーティングと従来の採用手法との違いを比較してみましょう。

  ダイレクト
リクルーティング
スカウトサービス 人材紹介 求人媒体
特徴

自社にマッチした個人に
ピンポイントで
アプローチ

条件に合う母集団に
まとめて
アプローチ
事前登録された人材から、
条件に合う候補者を紹介してもらう
既存の広告媒体などでアプローチを行う

母集団形成の
主導権

ミスマッチの起きにくさ
コスト
労力

それぞれの採用手法ついて以下で解説します。

スカウトサービスとの違い

スカウトサービスは求人媒体の条件に合う母集団にまとめてスカウトメールを送付し、アプローチする手法です。

条件を絞り込んでアプローチできるため、人材紹介サービスや求人媒体より母集団をコントロールしやすいと言えます。

なお、母集団にまとめてアプローチするため、スカウト採用の対象者は不特定多数になります。

そのため、ダイレクトリクルーティングと比べてミスマッチが起きやすい傾向があります。

また、自社にマッチした人材を絞り込むための工数がかかってしまいます。

一方、大量採用のフェーズにおいては、母集団にまとめてアプローチできるため、ダイレクトリクルーティングよりスカウトサービスのコストパフォーマンスのほうが高いと言えます。

人材紹介サービスとの違い

人材紹介サービスとは、事前に登録された人材から条件にマッチした人材を紹介してもらうサービスです。

ほとんどの採用活動を外部に委託できるため、工数を削減できます。一方、採用人数が多ければ多いほど外部コストがかかります。

また、人材紹介サービスは母集団を自社でコントロールすることはできません。

そのため、ダイレクトリクルーティングと比べてミスマッチが起きやすい傾向があります。

求人媒体との違い

求人媒体は既存の求人広告媒体に掲載し、アプローチを行う方法です。

採用の有無に関わらず、出稿数に応じて掲載料がかかります。

特に中小企業の場合、数多ある求人から自社を見つけてもらうことは困難なため、採用に結び付きにくい傾向があります。

求人媒体の掲載内容によって母集団をコントロールすることは可能ですが、どのような人材が応募してくるかはわかりません。

状況によっては多数の応募者のなかから工数をかけて選考をしていく必要があります。

ダイレクトリクルーティングが向いている企業

ダイレクトリクルーティングが向いている企業

ダイレクトリクルーティングは企業によって向き不向きがあります。

ダイレクトリクルーティングが向いている企業には以下の特徴があります。

  • 採用難易度が高い職種を採用したい企業
  • 採用ノウハウを蓄積し、採用力を高めたい企業
  • 採用工数をかけられる企業

それぞれ以下で解説します。

採用難易度が高い職種を採用したい企業

採用難易度が高い職種は人材不足が顕著です。例えば以下のような職種です。

  • 先端技術エンジニア
  • 管理職
  • 介護・福祉

近年、先端技術エンジニアの需要が急速に高まっていますが、常に人材不足の状態です。

また、優秀な人材は給与が高い大手企業に採用が決まることも多く、中小企業は潜在層へのアプローチが求められます。

介護や福祉といった業種も需要に対して人材が不足している状態です。

こちらは給与や働き方の問題が指摘されているため、労働環境の改善が求められます。

採用ノウハウを蓄積し、採用力を高めたい企業

現在、ほとんどの企業で採用効率の低さや採用ミスマッチに悩んでいます。

人材紹介や求人媒体は外部に委託するため、自社に採用ノウハウが蓄積されません。

ダイレクトリクルーティングは自社が主導となって採用を行うため、採用ノウハウが蓄積され、採用力が高まっていきます。

従来の採用手法で満足のいく結果が得られなかった企業にとっても適していると言えます。

採用工数をかけられる企業

ダイレクトリクルーティングは採用担当者が自社に合った人材一人ひとりにアプローチをかける採用手法です。

人材紹介や求人媒体などの従来の手法と異なり、業務負担や採用工数が増えます。

ダイレクトリクルーティングを導入する場合は採用活動に十分な工数をかけられる状況であることが必要です。

ダイレクトリクルーティングのアプローチ方法

ダイレクトリクルーティングのアプローチ方法

ダイレクトリクルーティングのアプローチ方法には大きく次の3つがあります。

  • 人材データベースの活用
  • SNS
  • 採用イベント

それぞれ以下で解説します。

人材データベースの活用

最も基本的な採用手法が人材データベースを活用した手法です。

他社の人材データベースを活用し、求職者個人に直接企業がアプローチをかけます。

具体的には自社の求める人材を他社のデータベースのなかから見つけ出し、スカウトメールを送信します。

企業は他社のデータベースを使いますが、以下の作業は自社で行うことになります。

  • 候補者の選定
  • スカウトメールの文章作成、送信
  • 返信時の対応
  • 選考 など

なお、人材データベースにはそれぞれ以下のような違いがあります。

  • 新卒採用に強い:OfferBox、dodaキャンパス、irootsなど
  • 中途採用に強い:BIZREACH、doda ダイレクトなど
  • エンジニア採用に強い:Green、Forkwell Jobsなど
  • バイリンガル採用に強い:グローバル採用ナビ、キャリアクロスなど

グローバル人材をお探しの場合はLinkedInも有効です。

LinkedInはアメリカ生まれのビジネスSNSです。

海外と比べると日本の登録者数はまだ少ないですが、全世界で約10億人が登録しており、(2024年現在)急成長中です。

グローバルなビジネスネットワークですので、海外の候補者や海外勤務を希望する候補者が多く利用している点や転職潜在層も登録されている点も特徴です。

自社が採用したい人材に合わせた媒体を選定しましょう。

SNS

最近はSNSを使ったダイレクトリクルーティングもあります。

WantedlyやLinkdInなどのビジネスSNSだけでなく、X(旧Twitter)やFacebookなどの汎用的なSNSを通じて直接求職者にアプローチします。

この手法はソーシャルリクルーティングと呼ばれることもあります。

採用イベント

会社瀬説明会や就職セミナーなどのイベントもダイレクトリクルーティングでのアプローチ法のひとつです。

他の方法と比べて直接顔を合わせることになるため、微妙な温度感や求職者の雰囲気を知ることができます。

イベントは自社で行うものもありますが、転職フェアのように複数の企業が集まって実施されるものもあります。

ダイレクトリクルーティングのメリット

ダイレクトリクルーティングのメリット

ダイレクトリクルーティングのメリットには以下のようなものがあります。

  • 採用コストを抑えることができる
  • 転職潜在層へのアプローチ
  • 自社にマッチした人材を直接探せる
  • 自社の採用力を高めやすい
  • 採用広報と並行できる

それぞれについて以下で解説します。

採用コストを抑えることができる

求人媒体に求人情報を掲載する場合は出稿ごとに費用が発生します。

人材紹介サービスの場合、採用が成立した場合は高額な紹介手数料が必要です。

ダイレクトリクルーティングの場合、データベース使用料のみの支払いで済むプランもあります。

そのため、プランによっては大幅にコストを削減できる可能性があります。

また、SNSを利用すれば採用ツールにかかるコストもかかりません。

もちろん、工数はかかりますが、自社の工夫次第でコストを大幅に下げることができるのがダイレクトリクルーティングのメリットです。

転職潜在層へのアプローチ

人材紹介サービスや求人媒体に登録している求職者は転職意欲の高い人材(=転職顕在層)です。

一方、ダイレクトリクルーティングは「いい求人があれば転職したい」「具体的なアクションは起こしていないが将来的に転職も視野に入れている」といった転職潜在層にアプローチできます。

転職顕在層だけでなく、転職潜在層までアプローチできるため、母集団を拡大することができます。

また、人材紹介サービスや求人媒体はどうしても知名度の高い求人のほうが有利になります。

しかし、ダイレクトリクルーティングなら、中小企業やベンチャー企業でも求職者に見てもらいやすくなります。

自社にマッチした人材を直接探せる

求人媒体や人材紹介サービスの場合、膨大な数の応募者から自社にマッチした人材をピックアップする必要があります。

そのため、自社の求める人材を採用するまでのプロセスが増えてしまいます。

一方、ダイレクトリクルーティングは、自社が求める人材に直接アプローチできます。

そのため、採用プロセスを簡素化しつつ、採用ミスマッチを防ぐことができます。

自社の採用力を高めやすい

ダイレクトリクルーティングは自社が直接採用活動を行います。

「自社の求める人材の応募がない」という場合は、どのような点をアピールすれば良いかを考え、改善していくことでノウハウを蓄積されていきます。

また、自社ですべての採用活動を行うため、一人を採用するためにいくらかかったかが明確になります。

費用がかかりすぎているという場合は何が問題だったかを分析し、改善していくことで採用効率が高まることができます。

採用広報と並行できる

採用広報とは、自社で働くことをイメージしやすくするため、企業が自社の労働環境や募集要項について情報発信することです。

昨今、売り手市場が続いていることから、多くの企業が採用広報に注力するようになりました。

具体的な手法としては以下のようなものがあります。

  • 自社サイトに掲載する
  • noteやWantedlyなどのプラットフォームを利用する
  • X(旧Twitter)やInstagramなど各種SNSを活用する

採用広報とダイレクトリクルーティングは並行が可能です。

また、採用広報とダイレクトリクルーティングを並行して行うことで自社の認知度アップや母集団形成、採用活動を効率よく行うことができます。

ダイレクトリクルーティングのデメリット

ダイレクトリクルーティングのデメリット

ダイレクトリクルーティングのデメリットには以下のようなものがあります。

  • 一定以上の知識・ノウハウが必要
  • 業務負荷の増加
  • 長期的な視点で取り組む必要がある

それぞれ以下で解説します。

一定以上の知識・ノウハウが必要

ダイレクトリクルーティングは人材紹介や求人媒体のように「待ち」のスタイルではなく、候補者の選定から選考、採用までを自社で行います。

また、自社にマッチしたターゲットを選定するためには採用を必要としている現場との関係構築も必要です。

ターゲットが決まったら、求職者と直接コミュニケーションを取り、関係性を構築する必要があります。

具体的には候補者の強みや弱みを引き出す力、自社の魅力を伝える力、合意形成する力などが必要です。

そのため、採用活動に関する一定以上の知識やノウハウが必要になります。

業務負荷の増加

ダイレクトリクルーティングは人材紹介や求人媒体で外部に委託していた業務を自社で行う必要があります。

具体的には以下のことを自社の採用担当者が行います。

  • 母集団・候補者の選定
  • データベース・プラットフォームのアカウント設定や使い方を習得
  • 求人票を作成する
  • スカウトメールの文章のひな形を複数パターン作成する
  • スカウトメールの送付
  • 候補者からの返信・問い合わせ対応
  • 面談の日程調整
  • 合否連絡
  • 求人票やスカウトメールの見直し

上記に加え、実務では現場や経営層との擦り合わせ、採用基準の作成、面接対応まで発生します。

スカウトメールを作成する際は、定型文やひな形を使用するのではなく、候補者の状況や特性を考慮し、心に刺さる文面で作成することが重要です。

効果的な文面については「ターゲットにスカウトメールを作成・送信」の項で後述します。

長期的な視点で取り組む必要がある

ダイレクトリクルーティングでは候補者を絞り込み、候補者一人ひとりに対して段階的にアプローチします。そのため、すぐに結果が出るものではありません。

また、候補者の絞り込みや反応の低い候補者に対してアプローチを変えるなど、地道な努力が必要です。

また、ダイレクトリクルーティングは転職潜在層にアプローチできるという特徴があります。

すぐには転職を考えていない候補者の場合、長期的なアプローチが必要です。

求職者によっては数多の企業からスカウトメールが届いていることもあり、すぐに開封してもらえないこともあります。

ダイレクトリクルーティングサービスの費用形態

ダイレクトリクルーティングサービスの費用形態

ダイレクトリクルーティングの費用形態は大きく分けて次の2つになります。

  • 成功報酬型
  • 定額型

それぞれについて以下で解説します。

成功報酬型

成功報酬型とは、採用が決まった人数に応じて料金が発生する料金形態です。

成功報酬型の場合、初期費用+成功報酬という料金形態が一般的です。

なかには初期費用が不要の完全成功報酬型のサービスもあります。この場合、採用が決まるまで費用がかかりません。

成功報酬の捉え方については「一人〇〇円」「入社者の年収の〇%」などと利用するサービスよって異なります。

また、成功報酬の発生するタイミングも利用するサービスよって異なります。

一般的には以下のようなタイミングで費用が発生することが多いです。

  • 候補者が内々定を承諾した段階
  • 入社が決定した段階
  • 入社から〇か月経過した段階 など

成功報酬型は採用人数が増えれば増えるほどコストがかかるため、採用人数が少ない場合にコスト面でのメリットが大きくなります。

成功報酬の相場は1名採用あたりで30~60万円が相場です。

定額型

定額型とは、入社人数ではなく、あらかじめ決められた固定費用だけがかかる料金形態です。

月額、年額などの利用期間をベースに費用を設定しているものと、採用予定人数をベースに設定しているものがあります。

定額ブラン採用活動の期間や人数が明確でなければ不利益が生じる恐れがあります。

例えば、「予定より早く採用人数を確保できた」と場合であっても、余った期間分を返金してもらえるわけではありません。

ダイレクトリクルーティングの手順

ダイレクトリクルーティングの手順

ダイレクトリクルーティングの手順は以下のとおりです。

  • アプローチ方法を決める
  • 求める母集団を探す
  • ターゲットにスカウトメールを作成・送信
  • 問い合わせ対応
  • 面談を行う
  • 結果を分析して改善点を見出す

それぞれ順を追って説明します。

アプローチ方法を決める

まずは求職者にどのような方法でアプローチするかを決めます。

前述のとおり、ダイレクトリクルーティングのアプローチ法には以下のようなものがあります。

  1. 人材データベースの活用
  2. SNS
  3. 採用イベント

1はデータベースに登録されている人材からピックアップすることになります。

一方、2、3は自社で膨大な数のなかからターゲット層を決める必要があります。

1を選定する場合はどのサービス、媒体を利用するのかまで決めます。

利用する媒体やサービスを選定したら、自社のアカウントを開設します。

以降では、最も基本的なアプローチ法である人材データベースを活用したケースで話を進めていきます。

求める母集団を探す

利用する媒体が決まったら、ターゲットとなる母集団を検索します。

データベースを利用する場合は自社の求める人材の条件を入力して検索します。このとき、条件を細かく絞り込み過ぎないこと需要です。

最初から細かく絞り込んでしまうと、自社にマッチした人材の抜け漏れが生じる恐れがあります。

データベースに登録している人のなかには、プロフィールやレジュメを細かく記載していないことがあります。

検索条件を細かくしてしまうと、これらの人材を取りこぼしてしまう恐れがあります。

最初は全体に譲れない条件だけで検索してみて、膨大な数がヒットしたら徐々に絞り込んでいきます。

ヒットする人材が少なすぎる場合は条件を緩和して検索し、柔軟に対応しましょう。

ターゲットにスカウトメールを作成・送信

ターゲットにスカウトメールを作成・送信

ターゲットとなる母集団を絞り込んだら、スカウトメールを作成します。

利用する媒体によってはスカウトメールの文面のひな形が用意されていることもあります。

ただし、ひな形をそのまま使用するのは辞めたほうが良いでしょう。

ひな形があるということは、他企業も同じひな形でスカウトメールを送信しています。

ダイレクトリクルーティングでは如何にターゲット人材の目に留まるかが重要です。

同じような文面のメールがたくさん来ても開封してもらえない可能性があります。

同じ文面で何度も送信すれば不信感を抱かれる恐れもあります。

スカウトメールを送信する際は求職者のプロフィールやレジュメを読み込み、現状やスキル、経験を把握します。

記載する際はそこに記載された内容に触れ、「あなただけに送ったメール」であることが伝わるようにしましょう。

特別感を演出するためには、以下のような内容を盛り込むことも有効です。

  • スカウトした理由
  • プロフィールやレジュメのなかで惹かれた部分
  • 会社説明会・面談に参加するメリット(現場の従業員の話ができる、職場体験ができる)
  • 一次面接免除
  • 求人サイトに掲載していない非公開求人である など

特別感のある個別メッセージを送信することで応募率を上げる効果が期待できます。

問い合わせ対応

求職者にスカウトメールを送ると、応募や問い合わせメールが届きます。

応募や問い合わせメールには速やかに対応しましょう。

このとき、まず応募・問い合わせに対するお礼を述べることが重要です。

求職者のなかには「本当に自分が応募していいのか」などと不安な気持ちのまま問い合わせや応募をしていることもあります。

「あなたからの応募を待っていました」「返信してくれてありがとう」という気持ちを示すことで、求職者の応募へのハードルを下げやすくなります。

逆に対応が遅かったり、機械的に返信してしまったりすると、「自分は対象ではない」「軽んじられている」などと思わせてしまう可能性があります。

なお、土日や深夜に返信すると「この会社は休日出勤があるのか」「深夜残業が当たり前なのか」などの印象を持たれる恐れがあります。

求職者への対応はできるだけ営業時間内に行いましょう。連絡を取り合ったら、面談や選考のアポイントを取ります。

面談を行う

スカウトメールでやり取りし、求職者から前向きな回答があれば、面談の日程を設定し、面談を実施しましょう。

可能であれば、正式な選考前にカジュアル面談を行うことをおすすめします。

正式な選考と異なり、カジュアル面談は求職者と企業がフランクに相互理解を深める場です。

カジュアル面談では、企業側は自社がどのような企業なのか、求職者にどのような仕事を任せたいのかなどを伝えましょう。

カジュアル面談を行う際は、求職者に対してどのような情報を知りたいかヒアリングし、その情報を持つ従業員を同席させると良いでしょう。

事前に互いの価値観や情報共有を行うことで、ミスマッチを防ぎやすくなります。

ラフな雰囲気で情報交換・質疑応答を行うことで、求職者の疑問や不安が解消されれば、応募へのハードルが下がりやすくなります。

求職者に入社の意思があれば、通常の面談・選考ステップへと進みます。

カジュアル面談については以下の記事も参考にしてください。

関連記事≫≫
カジュアル面談とは|面接との違いや実施方法、成功させるポイントを解説

結果を分析して改善点を見出す

採用計画が一通り終わったら、結果を分析し、次の採用活動に活かしましょう。

まず、母集団検索から採用までの工程を細かくわけ、それぞれについて成果を数値化して評価します。

こうすることで、次回の採用活動において、どの工程で何がどのくらい効果を発揮したかを可視化しやすくなります。

これについては詳しくは「PDCAを回して改善していく」項で後述します。

ダイレクトリクルーティングを成功させるポイント

ダイレクトリクルーティングを成功させるポイント

ダイレクトリクルーティングを成功させるポイントは以下のとおりです。

  • 求職者の立場になって考える
  • ターゲットを惹きつける魅力を作る
  • 専任の担当を決める
  • 経営陣を含め、全社に協力してもらう
  • 採用課題を明確にする
  • 採用情報を一元管理する
  • ノウハウを蓄積し、長期視点で取り組む
  • PDCAを回して改善していく
  • バックグラウンドチェックやリファレンスチェックの併用

それぞれについて以下で解説します。

求職者の立場になって考える

コミュニケーションの基本は相手の立場になって考えることです。

これは相手がどのような立場であっても同じです。

自分が求職者だったらどのようなポイントが刺さるか、どのような点に興味を持つか、何と言われたら嬉しいかについて想像力を働かせましょう。

前述のとおり、スカウトメールはひな形ではなく、求職者に合わせて文面を作成することが重要です。

どのように書いてあったら興味を持つか、どのように書いてあったら応募してみようと思うかを考えましょう。

ターゲットを惹きつける魅力を作る

求職者に「この会社で働きたい」と思ってもらえる魅力づくりも重要です。

自社の求める人材が自分だったら、どのような会社に惹かれるか考えましょう。

一番わかりやすいのは給与・待遇です。

そのほか、企業や職種によっては以下のような点が訴求ポイントになり得ます。

  • 福利厚生制度
  • 仕事のやりがい
  • キャリアモデル
  • 企業風土・カルチャー など

専任の担当を決める

ダイレクトリクルーティングは専門知識やノウハウが必要になります。また、これらの習得から実務まで多くの工数がかかります。

ダイレクトリクルーティングを導入する際は専任の担当者を決めることが重要です。

このとき、採用担当者がダイレクトリクルーティング業務を兼務することもありますが、導入時は業務負担が非常に大きくなります。

ダイレクトリクルーティングに専念できる人材でなければ、知識やノウハウの習得から実務や改善といったPDCAを回すことが難しくなります。

経営陣を含め、全社に協力してもらう

採用活動は人事採用部門が中心となって進めるものです。

一方、新たにダイレクトリクルーティングを導入する際は経営陣や現場を含め、全社的に取り組むことが重要です。

例えば、求職者の具体的な採用要件は現場の意見を取り込むことが重要になります。

また、現場の仕事の魅力ややりがいはそこで働く人のほうが詳しいはずです。

その他の取り組みの例としては以下のようなものがあります。

  • 人事・採用担当だけでなく、経営層や現場の意見も取り入れて採用要件を決める
  • 面談・面接の際は現場の従業員が同席し、経験やスキル面をチェックする
  • 自社の展望をしっかり伝えられる経営層を面接に顔を出させる など

採用課題を明確にする

採用課題を明確にする

どのような採用手法であっても、まずは自社の採用課題を明確にすることが重要です。

現状の採用プロセスの課題を抽出し、解決すべき点を挙げていきます。

採用プロセスの課題の具体例には以下のようなものがあります。

  • 採用活動に時間がかかりすぎている
  • 母集団が少ない
  • 自社が求める人材に出会えていない など

採用課題を明確にすることで、本当に自社が求める人材が明確になったり、採用活動の開始時期を変更したりすることもあります。

また、「緊急で採用人数を増やしたい」という場合などダイレクトリクルーティング以外の手法を検討したほうが良いケースもあります。

採用情報を一元管理する

ダイレクトリクルーティングは採用活動にかける工数が増えます。

そのため、採用情報の可視化・一元管理が非常に重要です。

例えば、以下の情報を一元管理できれば、工数削減につながり、効率的に取り組むことができます。

  • 候補者情報
  • アプローチの状況
  • 選考の進捗状況
  • 面談の日程
  • 候補者の評価 など

情報集約やデータベース化など、一元管理のためには一時的に工数がかかります。

しかし、ダイレクトリクルーティングは長期戦ですので、トータルで見れば工数削減につながります。

ノウハウを蓄積し、長期視点で取り組む

ダイレクトリクルーティングはノウハウを蓄積し、長期視点で取り組むことが重要です。

採用活動で得られた情報やデータを管理、分析し、次の採用活動に生かしていきます。

振り返る際も短期的な結果に囚われてはいけません。スカウトを行う際も、すぐに結果が出ないからといって解約してはいけません。

まずは母集団の見直しやスカウトメール・返信メールの改善を行いましょう。

これらの改善を行うことで問い合わせ率や返信率がどう変化したかを確認していきましょう。

ノウハウやデータが蓄積されることで、次回以降の採用活動をより効率的に進めることができます。

PDCAを回して改善していく

ダイレクトリクルーティングの成功にはデータに基づいた分析が不可欠です。

以下のように採用活動の各項目を数値化し、どのような結果になったかを評価しましょう。

  • アプローチした人材の属性
  • スカウトメールの開封率
  • スカウトメールの返信率
  • 選考に進んだ人数
  • 採用した人数
  • ダイレクトリクルーティングで使用したチャネル など

それぞれについて定期的に確認し、どのように改善すべきか分析し、次の採用活動に活かしましょう。

そしてその結果をさらに分析し、改善する、といったPDCAを回し続けましょう。

バックグラウンドチェックやリファレンスチェックの併用

ダイレクトリクルーティングはエージェントを通さないため、客観的な視点が欠けてしまう恐れがあります。

採用精度を上げるためにも、バックグラウンドチェックやリファレンスチェックなどの客観的評価を組み込むことが重要です。

なお、バックグラウンドチェックとリファレンスチェックには以下のような違いがあります。

  • バックグラウンドチェック:候補者の主張する経歴やスキルが正確かどうかを確認する
  • リファレンスチェック:候補者の前職の勤務先や関係先にヒアリングを行い、勤務態度や実績を確認する

まとめ

ダイレクトリクルーティングは求人媒体や人材紹介サービスを介さず、企業が直接求職者にアプローチする採用手法です。

転職潜在層にアプローチでき、自社にマッチした人材を探すことができる一方、即採用に向かない、担当者の業務深が増加するといったデメリットもあります。

また、ダイレクトリクルーティングは客観的視点を欠く恐れがあります。

ダイレクトリクルーティングを導入する際はバックグラウンドチェックやリファレンスチェックなどの客観的評価も併用しながら、短期的な結果に長期的な視点で取り組むことが重要です。