ブラインド採用とは?メリットと導入方法、成功のポイント【事例有】
2025.04.04

ブラインド採用とは年齢や性別など、応募者の適性や能力と関係のない応募者の情報を排除して評価する採用手法です。
ダイバーシティの促進やグローバル化により、注目されている採用手法です。
この記事を最後まで読むことで以下のことがわかります。
- ブラインド採用とは何か
- ブラインド採用を導入するメリット
- ブラインド採用の導入手順
- ブラインド採用の注意点
- ブラインド採用を成功させるためのポイント
- ブラインド採用の事例
ブラインド採用とは
ブラインド採用とは、国籍や性別、学歴、年齢など応募者の個人情報を隠し、能力や適性だけで選考を行う採用手法です。
組織を見渡すと、特定の学校の出身者や体育会系が多いなど、共通点があるケースがあります。
また、明確な採用要件がない場合であっても、既存社員と同じタイプを採用してしまうことがあります。
さらに、応募者の学歴や前職の経歴などによって、その他の部分の評価に影響をおよぼすハロー効果が起きるケースもあります。
ブラインド採用を導入することで偏見や主観などを排除し、公平・公正な選考につながる可能性があります。
ブラインド採用の歴史
ブラインド採用のモデルとなったのは1970年代の米国のオーケストラ楽団とされています。
当時、米国の名門音楽学校の卒業生の約半数が女性でした。しかし、オーケストラ楽団に採用される女性は10%程度にとどまっていました。
これに疑問を持ったスタンフォード大学のクレイマン・ジェンダー研究所は、「選考の家庭で無意識にバイアスが働いているのではないか」という仮説を立てました。
この仮説に基づき、応募者の演奏する姿を隠したうえで、オーディションを行うという実験を行ったところ、一次審査を通過した女性の比率は50%を超える結果となりました。
アメリカや韓国などでは、これらのアンコンシャスバイアスを排除した採用を行うため、ブラインド採用を導入する企業が増えているのです。
ブラインド採用が求められるようになった背景
ブラインド採用が求められるようになった背景には以下のようなものがあります。
- ダイバーシティの促進
- ビジネス環境の変化
それぞれについて下記で解説します。
ダイバーシティの促進
ブラインド採用が求められるようになった背景のひとつにダイバーシティの促進があります。
ダイバーシティ(Diversity)とは、直訳すると「多様性」という意味になります。
人種や性別、年齢、宗教など、などさまざまな違いを持った人々が組織や集団で共存し、その違いを尊重し合うことを意味する言葉です。
労働力不足や人材の多様化から、ダイバーシティの実現が求められるようになりました。
ビジネス環境の変化
日本では少子高齢化が続き、労働人口の減少が続いています。
また、ITやグローバル化が進むなか、企業存続のためにも多様な人材確保が重要となっています。
応募者の属性に囚われず、多様な人材を採用するためにも、アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)を排除した採用手法が求められているのです。
ブラインド採用を導入するメリット

ブラインド採用の導入には以下のメリットがあります。
- 多様な社会のニーズに対応できる
- 多様性の促進により、イノベーションが生まれやすくなる
- 公平な採用ができる
- 埋もれがちな優秀人材を発掘できる
- 企業のブランディングにつながる
それぞれについて下記で解説します。
多様な社会のニーズに対応できる
近年、人の価値観は多様化し、それだけ社会のニーズも多様化し、複雑化しています。
多様な人材を採用できれば、多様化した社会のニーズにも対応しやすくなります。
多様性の促進により、イノベーションが生まれやすくなる
ブラインド採用によって、多様な能力や価値観を持った人材の採用につながります。
これまでは似たような志向性や価値観の人材ばかりを採用していたかもしれません。
しかし、同じような人材が集まるだけではイノベーションや斬新のアイデアは生じません。
ブラインド採用を導入し、多様な価値観や能力を持った人材が入ることで、これまでとは違った視点から新しいアイデアが生まれる可能性があります。
採用基準の統一によって公平な採用ができる
ブラインド採用は年齢や性別、学歴といった個人情報を除いて評価します。
先入観や偏見の影響を最小限に抑え、能力や実績のみで評価するため、公平・公正な採用を行うことができます。
これにより、自社が求める真に優秀な人材を選ぶことが可能になります。
埋もれがちな優秀人材を発掘できる
実績や能力のみで評価することで、従来の方法では採用に繋がらなかった人材を発掘できます。
採用担当者の主観に左右されないため、より優秀な人材を確保できるようになります。
優秀な人材を採用できれば、企業の生産性向上・業務効率アップにつながります。
企業のブランディングにつながる
ブラインド採用の導入は企業のブランディングにもつながります。
企業が多様性や公平性を重視していることは、社会的な信用につながります。
ブラインド採用を導入することで企業の信頼性やブランド価値が上がり、優秀な人材が集まりやすくなります。
ブラインド採用の導入手順

ブラインド採用の導入手順は以下のとおりです。
- 採用担当と事務処理担当を分ける
- ブラインド採用専用の書類を用意する
- 書類選考はペーパーテストやオンラインテストを利用する
- パーテーションやボイスチェンジャーを用いて面接を行う
以下で順を追って解説します。
採用担当と事務処理担当を分ける
ブラインド採用は採用担当と事務処理担当を分けることから始まります。
事務処理と採用担当が同じだと、応募者の個人情報を目にすることになります。
この状態でブラインド採用を実施しても、十分な効果が得られなくなる恐れがあります。
そのため、採用担当者が応募者の個人情報を目にしないよう、採用担当と事務処理担当を分けることから始めます。
事務処理担当は応募者から提出された書類から個人情報を削除、あるいはブラインド採用の書類を作成します。
採用担当は事務処理担当から渡された書類で選考を行うことになります。
ブラインド採用専用の書類を用意する
事務処理担当者が必要事項のみ記載された書類を用意します。
もしくは、履歴書や職務経歴書から応募者の個人情報を隠します。
ブラインド採用で削除する項目として一般的なものは以下です。
- 氏名
- 年齢
- 性別
- 学歴
- 職歴 など
このとき、採用担当者が応募書類を目にすることがないよう、閲覧制限や書類管理にも注意をしましょう。
書類選考はペーパーテストやオンラインテストを利用する
書類選考でも先入観や偏見を排除することが重要になります。
具体的にはペーパーテストやオンラインテストの利用が有効です。
こうすることで、個人情報に頼ることなく、応募者の実際のスキルや適性を公平に評価することができます。
パーテーションやボイスチェンジャーを用いて面接を行う
面接を行う際はブラインド採用を実施できる環境を整える必要があります。
人は無意識のうちに、相手の声や話し方、外見で判断することがあります。
また、声や話し方、外見によって性別や年齢を推測する可能性があります。
そのため、パーテーションやボイスチェンジャーを使用し、応募者の属性が特定できないような面接を行います。
個人を特定できないようにすることで、公平・公正な評価が可能になります。
なお、ブラインド採用を行う面接官は応募者の能力や資格、適性に基づいて評価する必要があります。
そのため、能力や資格、適性だけで評価するためのトレーニング、先入観や偏見を排除するトレーニングを行うことが重要です。
ブラインド採用の注意点

ブラインド採用を導入する際は以下の点に注意しましょう。
- 採用ミスマッチが起こる可能性がある
- 社員構成のバランスがとりづらい
- 採用活動の長期化
それぞれについて下記で解説します。
採用ミスマッチが起こる可能性がある
ブラインド採用は応募者の能力や資格、適性だけで評価します。
そのため、企業理念や社風、応募者の価値観や人柄がマッチするかどうかまで判断することはできません。
入社後に「こんなはずではなかった」「こんなことは聞いていない」などの理由で離職する可能性もあります。
社員構成のバランスがとりづらい
ブラインド採用では年齢や性別などの個人情報を排除して選考を行うため、社員の年齢層や性別のバランスが崩れる恐れがあります。
結果的に同じような従業員が集まってしまう、既存従業員と反りが合わずに衝突が増えるといったことが起きる可能性があります。
採用活動の長期化
ブラインド採用は採用対象となる応募者が増えることになります。
そのため、応募者の絞り込みに時間がかかる可能性があります。
ブラインド採用向けの書類を準備したり、ブラインド採用に適した環境を整えたりするため、採用活動の工数が増え、担当者の業務負担が増える可能性があります。
また、評価基準が曖昧な場合、能力や資格、適性だけで評価することが難しい場合、採用までに時間を要してしまう恐れがあります。
応募者は選考の長期化を嫌がります。
選考が長期化すれば、選考を辞退したり、他の就職先を優先したりする可能性があります。
ブラインド採用を成功させるためのポイント

ブラインド採用を成功させるためのポイントは以下のとおりです。
- 多様性を受け入れる風土づくり
- 採用基準の明確化
- 適用範囲は慎重に検討する
- 他の採用手法を併用する
- 入社後のフォローを行う
それぞれについて下記で解説します。
多様性を受け入れる風土づくり
ブラインド採用の目的は多様性の促進にあります。
自社に合う人材ばかりを採用してきた企業の場合、取り立てて社風や風土作りに取り組む必要はなかったかもしれません。
しかし、ブラインド採用を導入するのであれば、既存従業員の考え方や社風を変え、多様性を受け入れる風土作りが必要です。
このとき、ブラインド採用を導入するに至った経緯やメリット・デメリットまで従業員に伝え、必要に応じて研修やフォローを行うといった配慮が必要です。
組織全体で同じ目標に向かっていることを理解できれば、ブラインド採用導入の効果を活かすことにつながります。
採用基準の明確化
ブラインド採用は応募者の能力や適性のみで評価します。
そのため、どの能力を重視するのか、どこまでなら妥協できるのかをしっかりと決める必要があります。
基準を設定する際は項目を細分化したうえで定量的に決めていきます。
設定した採用基準は採用担当だけでなく現場の従業員や経営層にまで共有し、真に必要な人材を採用できるように努めましょう。
適用範囲は慎重に検討する
ブラインド採用は能力や資格、適性のみで評価するため、社風や企業文化とのミスマッチが起きる可能性があります。
優秀な人材を確保したとしても、合否の最終判断に必要な情報まで隠れていると、いつまで経っても採用できず、長期化する恐れがあります。
ブラインド採用を導入する際は、応募者の情報をどこまで隠すか、どこまでを適用範囲とするかを慎重に判断しましょう。
職種やポジションなど、状況によって以下のようなパターンがあります。
- 年齢を重視:年齢だけ開示する
- 応募者の人柄や仕事に対する価値観を重視:応募者に事前に記載してもらう
- 営業職や接客業:応募書類のみ個人情報を伏せ、面接は通常通りに行う など
他の採用手法を併用する
ここまで説明したとおり、ブラインド採用はミスマッチが起きやすい採用手法です。
そのため、他の採用手法を併用し、採用精度を上げることも検討しましょう。
ブラインド採用と併用する手法としては以下の手法がおすすめです。
- バックグラウンドチェック:応募者の提出書類の虚偽がないか確認する
- リファレンスチェック:応募者の前職の勤務先にヒアリングして、応募者の勤務態度や実績を確認する
ブラインド採用は公平・公正な評価ができることがメリットになります。
しかし、応募者が主張するスキルや能力、実績に虚偽があれば、正しい評価はできません。
ブラインド採用を導入する際はバックグラウンドチェック・リファレンスチェックを併用することで採用精度の向上につながります。
例えば、ブラインド採用で応募者の能力や実力にフォーカスした採用を行います。
そのうえで、書類や面接ではわからない情報をバックグラウンドチェック・リファレンスチェックで取得すれば、優秀な人材の確保とミスマッチの防止を両立につながります。
入社後のフォローを行う
ブラインド採用は多様性を促進する手法です。そのため、入社後の社員が組織になじみ、スムーズに業務に取り組めるよう、フォローすることが重要です。
具体的な入社後のフォローの例には以下のようなものがあります。
- 1to1ミーティング
- メンター制度
- 交流会 など
ブラインド採用の事例【日本】

ここからはブラインド採用を導入している日本の企業の事例についてご紹介します。
ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス
ユニリーバ・ジャパン・ホールディングスは2020年3月から採用試験の際に履歴書から顔写真、ファーストネーム、性別欄を削除しました。
これらの項目は採用担当者が目にすることで、無意識に応募者の容姿や性別を思い浮かべることがあります。
審査で必要のないこれらの項目を排除し、重視すべき項目の見極めに集中することが狙いです。
三菱ケミカル株式会社
総合化学メーカーの三菱ケミカル株式会社は2022年4月入社向けの新卒定期採用から、応募する学生に顔写真の提出や性別の記入を求めない方針を掲げており、面接の際も性別を聞かない方針です。
採用担当者のバイアスを排除し、採用の公平性を担保することを狙いとしています。
ブラインド採用の事例【海外】
次に海外でのブラインド採用の導入事例についてご紹介します。
アメリカ
アメリカは人種差別や男女差別が根強く残っており、常に社会問題になっています。
そのため、従前より採用時の応募書類に顔写真を添付しない、性別を記載しないというのが一般的です。
なお、米google社は「学歴・成績不問」としており、次の5つを採用基準としています。
- 学ぶ力
- リーダーシップ
- 謙虚さ
- 自発性
- 専門知識
アジア
アジアではブラインド採用は一般的とは言えません。しかし、一部の国や業種ではブラインド採用を取り入れています。
例えば、韓国は公共機関に対して、出身地や性別、学歴などの項目を問わないブラインド採用を義務化しています。
また、シンガポールはブラインド採用の導入に積極的であると言えます。
まとめ
多様性が求められる時代になり、偏見や先入観をなくし、真に優秀な人材を確保する意味でもブラインド採用は非常に有効な手法と言えます。
一方、採用活動の長期化やミスマッチが起きやすいという点には注意が必要です。
ブラインド採用を導入する際はバックグラウンドチェックやリファレンスチェックといった他の採用手法と併用し、採用精度の向上と採用活動の効率化を図ることが重要です。