事例に学ぶ採用リスク

生徒にスマホやたばこを買い与える?!女性教諭「自分の子供だと思って」…

2021.05.12

事件の概要

2021年4月20日、「教員の責務に反し、公務員として不適切だ」として、自分の担任している生徒にスマートフォンやたばこを買い与えていた特別支援学校の50代の女性教諭を「戒告」の懲戒処分にしたと高知県教育委員会が発表しました。

発表によると、女性教諭は2018年4月に男子生徒の担任となりました。学校行事への参加を嫌がる生徒に対し、「頑張ったら褒美をあげる」と伝え、財布などを買い与えていました。

担任を外れたあとも生徒の自宅近くで待ち合わせをし、お菓子やたばこなどを買い与え、2019年末ごろには10万円以上のスマートフォンを買い与え、使用料まで支払っていたとのことです。

この行動について、教諭は「自分の子供のように思い込んでしまった」と話しているそうです。

高知県教育委員会が各校に出した通知によると、校長の許可なく生徒と教員がSNSなどで個人的にやり取りすることを禁じています。また、高額な商品を買い与える行為は公務員として不適切な行為に当たるとしています。

県教委がくだした「戒告」とは

「戒告」は国家公務員の懲戒処分の一つで、主に義務違反などがあった際に文書や口頭で注意をして反省を促すものです。

未成年の喫煙は違法行為です。未成年にたばこを買い与えることは犯罪を助長する行為で、教師として不適切な行為に思えます。しかし、高知県教育委員会がくだしたのは「戒告」の懲戒処分。免職や停職ではないため、上記の教諭は教鞭に立ち続けることができます。

もちろん、「戒告」であっても懲戒処分を受けたことに変わりはありません。そのため、履歴書を書く際、賞罰欄に戒告処分を受けたことを記載する必要があります。

しかし、履歴書には賞罰欄がないものもあります。賞罰欄がない場合、賞罰を記載する必要がありません。

上記の教諭が再就職する際、賞罰欄のない履歴書を使えば懲戒処分を受けたことはわかりません。

現在、官報情報検索ツールを使えば過去40年分の情報を検索できるようになっています。しかし、検索ツールの存在自体を知らないケースや網の目をすり抜けてしまうケースも存在します。

教諭の言動から読み取れるもの

上記の教諭は「自分の子供のように思い込んでしまった」ため、未成年の生徒にたばこや高額なスマートフォンを買い与えたと話しています。

しかし、「親であればなおさら子供にたばこを買い与えることはしない」と考えるのが自然です。

本来、教師というのは児童生徒を守り育てる立場であって、生徒の違法行為を促すのではなく、止める立場であるはずです。

以上のことから、上記の教諭は社会良識や共感性が乏しく、衝動的に行動する人物であることが伺えます。

入社(採用)後に想定されるリスク

この教諭は教員としての立場が保全されているため、チェックが漏れてしまえば教鞭に立ち続けることができます。

上記のような教諭を採用した場合、生徒と不適切な関係を持ってしまったり、ハラスメントなどを行ったりする可能性も否定できません。

採用後、教員が生徒と不適切な関係を持ったり、ハラスメント行為を行ったりした場合、以下のようなリスクが想定されます。

・苦情やクレーム、マスコミ対応に追われ、通常の業務ができなくなる

・生徒による犯罪行為の増加

・生徒の不登校や自殺

・保護者やPTA対応の増加

・風評被害が発生する

・志願者数の減少

・教員の退職連鎖(人的損失)

・ハラスメント被害者から損害賠償を請求される など

このように、教員の不始末は学校運営にとって大きなリスクにつながりかねません。

レキシルを活用するメリット

レキシルはWebの専門手法を活用し、SNSや各種ニュースサイト、データベースなどを調査することで、履歴書や面接だけではわからない応募者の情報や性格、素行などを評価・報告します。

通常の採用基準にレキシルをプラスすることで、トラブルを起こしかねない応募者の入社(採用)を防ぎ、採用リスクを回避しやすくなります。

まとめ

戒告処分の場合、教員の立場は保全されます。また、現行の官報情報検索ツールだけでは網の目をすり抜けてしまい、トラブルを起こした教員が教鞭に立つこともあります。

履歴書には賞罰欄がないものもあるため、上記のような人物の入社(採用)を防ぎきることができません。

保護者の信頼と期待に応える学校運営・教育活動を行うためにも、採用基準に新たな判断軸を加え、リスクを回避することが重要です。