事件に学ぶ採用リスク④近鉄採用担当者が就活中の女子学生に不適切行為
2021.06.09
事件の概要
2021年2月、近鉄グループホールディングスの採用担当者(A氏)が就活中の女子学生(B子)に肉体関係を迫るなど不適切な行為を行っていたことが週刊文春の取材でわかりました。
採用担当者A氏から不適切な行為を迫られたことを証言したのは就活中の女子大学生B子。A氏から「エントリーシートの添削をしてあげる」などと誘われ、食事をし、ラブホテルに連れていかれたそう。採用に影響が出ることを恐れたB子は誘いを断れず、A氏と肉体関係を持ったとのことです。なお、B子は近鉄の選考を通過しなかったそうです。
今回、週刊文春の問い合わせに対して、A氏は「行為におよんだのは事実」と報道内容を認めています。一方、近鉄グループHDは、A氏に対して「厳重な処分を行う」と回答しています。
性犯罪の犯人が検挙される確率はごくわずか
少し前のデータになりますが、平成12年版犯罪白書によると、平成11年の強姦の認知件数は1,857件、検挙人員は1,392人となっています。
一方、同年の性犯罪被害者数は女子の人口10万人あたり1,857人となっています。実際に強姦被害にあったとしても、検挙にいたるのは10万分の1以下ということになります。
つまり、性犯罪の被害者は泣き寝入りするケースが非常に多いということです。
不適切な行為を認めたがお咎めなしの可能性も
今回、近鉄グループHDは、採用担当者A氏について「厳重な処分を行う」と言ったことしかわかっておらず、お咎めなしの可能性も十分あり得ます。
つまり、A氏の経歴にはまったく傷がつかない可能性があるということです。
採用後に想定されるリスク
上記のような応募者を採用した場合、入社後にわいせつ行為を行ったり、社員にハラスメントなどを行ったりする可能性も否定できません。
社員がわいせつ行為を行ったり、ハラスメント行為を行ったりした場合、以下のようなリスクが想定されます。
・苦情やクレーム、マスコミ対応に追われ、通常の業務ができなくなる
・社員の退職連鎖(人的損失)
・風評被害が発生する
・ハラスメント被害者から損害賠償を請求される など
なお、今回のようなわいせつ行為が業務中に行われた場合、上記に加えて使用者責任が問われる可能性もあり、より深刻な事態となります。
このように、従業員の不始末は事業の正常な運営を妨げ、会社経営にとって大きなリスクにつながりかねません。
採用リスクを回避する方法
レキシルはWebの専門手法を活用し、SNSや各種ニュースサイト、データベースなどを調査することで、履歴書や面接だけではわからない応募者の情報や性格、素行などを評価・報告します。
通常の採用基準にレキシルをプラスすることで、トラブルを起こしかねない応募者の入社を防ぎ、採用リスクを回避しやすくなります。
まとめ
性犯罪は潜在化しやすい犯罪です。泣き寝入りするケースがほとんどで、検挙されることは少なく、逮捕にいたったとしても前科がつかなければ履歴書に記載する必要がありません。
上記のような応募者の入社を防ぐためにも、採用基準に新たな判断軸を加え、リスクを回避することが重要です。