事例に学ぶ採用リスク

中傷投稿特定?!SNSで犯人扱いされ、ツイッター社を提訴!

2021.05.12

概要

2019年9月、山梨県のキャンプ場で当時小学1年だった小倉美咲さんが行方不明となりました。

その後、ツイッター上で「母親が犯人」などの投稿があり、美咲さんの母・とも子さんは「中傷を受けた」として、ツイッター社に発信者情報の開示請求を求める訴訟を東京地裁に起こしました(提訴は2021年3月29日付)。

発信者特定に関する問題点

SNSやネット上での誹謗中傷が後を絶ちません。これらは匿名で行われることが多いため、発信者特定までに時間とお金がかかります。

報道によると、誹謗中傷ツイートにはとも子さんを犯人扱いしたものだけでなく、美咲さんに対する卑猥な内容のものもあったそう。

美咲さんに対してのツイートは、母・とも子さんの名誉権を侵害するものではありません。判例からすると、情報開示請求を行うことが難しいのが現状です。また、美咲さんは死亡が確認されたわけではないため、死者に対する「敬愛追慕の情」の侵害を主張することもできません。

代理人の弁護士は「死者だけでなく、長期にわたる行方不明者に対する敬愛追慕の情も法的に保護される権利だ」と話しており、とも子さんの美咲さんに対する敬愛追慕の情が侵害されたと主張しています。

加害者の人物像

誹謗中傷の被害経験があるというジャーナリストの佐々木俊尚氏によれば、「ネットやSNSに誹謗中傷を書き込む人は『普通の人』ということが多く、『テレビを見ながら居酒屋でぼやくような軽い気持ち』でやっていることがほとんど」だそう。

軽い気持ちで誹謗中傷をネットやSNSに書き込めるということは、社会良識や共感性が乏しく、衝動的に行動する人物であることが伺えます。

前述のとおり、SNSやネットの発信者特定には費用も時間もかかるため、被害者が泣き寝入りすることも少なくありません。

つまり、誹謗中傷をした人物は「お咎めなし」となり、経歴に傷がつかないケースもあるということです。

入社後に想定されるリスク

「お咎めなし」となった場合、面接や履歴書を見るだけでは、応募者が過去に上記のようなトラブルを起こしたことはわかりません。

上記のような応募者を採用した場合、入社後に不適切な内容をSNSに投稿したり、ハラスメントなどを行ったりする可能性も否定できません。

従業員が不適切な内容をSNSに投稿した場合、以下のようなリスクが想定されます。

・苦情やクレームなどの電話対応に追われ、通常の業務ができなくなる

・売り上げが減少する

・風評被害が発生する

・閉店や契約解除に追い込まれる

・上場企業の場合は株価が下落 

・など

また、従業員がハラスメントなど社内の秩序を乱すような行為をした場合、以下のようなリスクが想定されます。

・社員のモチベーション低下

・作業効率の悪化

・退職連鎖(人的損失)

・ハラスメント被害者から損害賠償を請求される など

このように、従業員の不始末は事業の正常な運営を妨げ、会社経営にとって大きなリスクにつながりかねません。

レキシルを活用するメリット

レキシルはWebの専門手法を活用し、SNSや各種ニュースサイト、データベースなどを調査することで、履歴書や面接だけではわからない応募者の情報や性格、素行などを評価・報告します。

通常の採用基準にレキシルをプラスすることで、トラブルを起こしかねない応募者の入社を防ぎ、採用リスクを回避しやすくなります。

まとめ

ネットやSNSによる誹謗中傷は被害者が泣き寝入りすることも多く、加害者の経歴には何も傷がつきません。

SNS・ネット全盛の今だからこそ、採用基準に新たな判断軸を加え、リスクを回避することが重要です。