概要
2021年6月18日、国内鉄鋼最大手・日本製鉄の採用担当者が入社予定の女性に性的関係を迫るなど不適切行為を行っていたことが明らかになりました。
この女性は5月に入社予定でしたが、精神的なショックを受け、6月18日時点で入社できていないとのことです。
日本製鉄はこの問題についてホームページに掲載し、上記採用担当者について「入社予定者の方と私的なやりとり・面会を行うなど不適切な行動をとっていた」と陳謝したうえで、「厳正な処分を実施した」とし、「再発防止策を強化・徹底する」などとしました。
その後、同社は当該社員の懲戒解雇処分を発表しています。
私用携帯でライン交換、事務連絡と併せて性的関係を迫る
今回の被害者は31歳の女性Aさん。職業訓練学校で資格取得後、昨年、日本製鉄東日本製鉄所(茨城県鹿嶋市)の採用試験に応募し、11月の1次面接、12月の2次面接を経て、今年5月に入社が決まっていました。
1次面接の面接官3人のうち1人が今回の加害者Bです。
入社するまでの間、AさんはBと事務連絡をやり取りしていました。4月2日、Bの私用携帯からAさんに連絡が入り、プライベートのライン交換を持ちかけられ、Bの機嫌を損ないたくないAさんはそれに応じたそうです。
その後、 Bから「入社したら、お酒でも飲みにいきましょう」というメッセージや、事務連絡などと併せて、「休み取れたら、朝からず~っと会えますか?」「Hしてもいいですか」などのセクハラなラインが送られるようになり、Aさんはラブホテルに連れ込まれてしまいます。
これまでのやり取りのなかで、Bは社員を退職に追いやった話などをしており、人事面での影響力を誇示していました。職を失いたくなかったAさんはBに従うしかないと考え、一線を越えることを受け入れてしまったようです。
肉体関係を持ってからも、BからAさんへのセクハララインは続きます。返事が遅れると採用者名簿を写メして送ってくるなど、自分の立場を誇示してきたそうです。
ついにAさんは精神的に不調を来たし、Bからの連絡に怯えるようになってしまいました。
h3 性犯罪の犯人が検挙される確率はごくわずか
少し前のデータになりますが、平成12年版犯罪白書によると、平成11年の強姦の認知件数は1,857件、検挙人員は1,392人となっています。
一方、同年の性犯罪被害者数は女子の人口10万人あたり1,857人となっています。実際に強姦被害にあったとしても、検挙にいたるのは10万分の1以下ということになります。
つまり、性犯罪の被害者は泣き寝入りするケースが非常に多いということです。
今回、Bは懲戒解雇されたため、詳細についてはわかりません。しかし、表沙汰になっていないだけで、過去に同様のトラブルが繰り返されていた可能性もあります。
採用後に想定されるリスク
上記のような応募者を採用した場合、入社後にわいせつ行為を行ったり、社員にハラスメントなどを行ったりする可能性も否定できません。
社員がわいせつ行為を行ったり、ハラスメント行為を行ったりした場合、以下のようなリスクが想定されます。
・苦情やクレーム、マスコミ対応に追われ、通常の業務ができなくなる
・風評被害が発生する
・社員の退職連鎖(人的損失)
・ハラスメント被害者から損害賠償を請求される など
なお、今回のような不適切行為が業務中に行われていた場合、上記に加えて使用者責任が問われる可能性もあり、事態はより深刻になります。
このように、従業員の不始末は事業の正常な運営を妨げ、会社経営にとって大きなリスクにつながりかねません。
採用リスクを回避する方法
セクハラ行為で懲戒解雇されたとしても、履歴書の退職理由に具体的なことまで書かないケースもあります。つまり、履歴書や面接だけでは、上記のような応募者の入社を防ぐことができないということです。
レキシルはWebの専門手法を活用し、SNSや各種ニュースサイト、データベースなどを調査することで、履歴書や面接だけではわからない応募者の情報や性格、素行などを評価・報告します。
通常の採用基準にレキシルをプラスすることで、トラブルを起こしかねない応募者の入社を防ぎ、採用リスクを回避しやすくなります。
まとめ
性犯罪は潜在化しやすく、泣き寝入りするケースがほとんどです。懲戒解雇されたとしても、具体的な退職理由まで履歴書に書かないケースもあります。
上記のような応募者の入社を防ぐためにも、採用基準に新たな判断軸を加え、リスクを回避することが重要です。